2022年2月24日、ロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始し、世界は衝撃に包まれました。
米国陸軍をも凌ぎ、世界最強の地上部隊を有するといわれるロシア軍がウクライナ各地へ同時侵攻したのです。
しかし、第三次世界大戦の開戦に繋がることを恐れて、欧米諸国、その連携でもあるNATOは軍事介入を回避しました。
そのため、ウクライナ軍とウクライナ国民が果敢にもロシア軍の侵攻に立ち向かいました。
しかし、彼らが手にする有効な武器は、ウクライナを支持する欧米諸国などから提供された軍事支援によるものでした。
世界最強の陸軍とも言われるロシア陸軍に現在、苦戦を強いている世界の最新兵器をご紹介します。
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ウクライナ軍、ロシア軍戦車をドローンで破壊
一時はロシア軍に握られたと思われた制空権ですが、ウクライナ空軍は健在で、地域によってウクライナ軍が制空権を掌握しています。
その証拠に、ウクライナ軍は、ロシア軍がウクライナ軍の無人攻撃ドローンから攻撃を受けている映像を公開しました。
これは今、世界中で話題になっています。
ドローンがロシア軍の中・低高度防空ミサイル・システム9K37ブークを攻撃し、破壊する映像です。
自走対空兵器であるロシア軍のブークですが、ウクライナ軍のドローンに気づいていないのか、破壊されています。
このドローンこそ、最新兵器バイラクタルTB2です。
最新軍事ドローン・バイラクタルTB2、その全貌
このバイラクタルTB2は、トルコの防衛企業バイカル社によって開発された中型無人偵察機で、使い捨ての自爆ドローンではなく、帰還して再出撃が可能です。
高さ2.2m、翼幅12m、縦6.5mの大きさです。日本の日常の中で見かけるドローンとは、比べ物にならない大きさで、まったくの別物だとわかります。
イラクタルTB2は、2015年6月トルコ軍にはじめて配備されました。
主に偵察及び諜報活動、攻撃支援を実施するために開発され、電気光学、赤外線カメラ、レーザー指示装置、レーザー距離計、レーザーポインターが搭載されています。
2015年末にはミサイル発射に成功し、攻撃ドローンとしても運用可能になりました。
最大積載量は、150kgで、翼には4つのハードポイントと呼ばれる取り付け部があり、ここに1つずつ、最大4つの長距離対戦車ミサイル、小型精密誘導爆弾、レーザー誘導ミサイル・ロケットを搭載できます。
スマートマイクロミュニション(MAM)と言われるトルコ製の誘導弾は200mmの装甲を貫通する威力があり、それも搭載可能です。
名前のバイラクタルとは、トルコ語で「軍旗」や「旗手」を意味しています。
開発には、元マサチューセッツ工科大学学生であるセルチュク・バイラクタルが大きく貢献したと言われています。
バイラクタルTB2、その特徴
バイラクタルTB2の最大の特徴は、短距離対空ミサイルの射程外である高度5000~8200mの高高度を、巡航速度と呼ばれる、燃料の状態がもっとも良い状態の速度で、時速130kmの低速飛行ができます。
これを最大27時間、6000kmの距離を昼夜関係なく飛行できる点がバイラクタルTB2の特徴です。
バイラクタルTB2の運用
バイラクタルTB2は、6機が1セットとなっています。
その操縦には、2台の地上管制局、3台の地上データ端末、2台のリモートビデオ端末、および地上支援装置が必要となります。
操作範囲は移動式の基地局から300kmとあまり広くないため、この基地局を敵に知られないことが重要となります。
1機あたり約500万ドル(約5.3億円)で輸出されているといいます。
バイラクタルTB2の戦歴
実は、バイラクタルTB2は、これまで各地の紛争で成果を上げてきました。
最初にバイラクタルTB2が有名になったのは、2020年に起こったアルメニアとアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ紛争です。
トルコの支援を受けたアゼルバイジャンがバイラクタルTB2を使ってアルメニアの防空敵地や戦闘車の位置を特定し、大きな戦果を上げました。
これをきっかけに、ポーランド、パキスタン、イラク、エチオピアなど多くの国が採用を決め、トルコに発注しました。
しかし、このバイラクタルTB2もロシアのウクライナ侵攻当初は、ロシア正規軍には通用しないとの見方が多かったのです。
しかし、実際には、ロシア軍戦車や対空兵器を次々に破壊し、ロシア軍にも果敢に立ち向かうウクライナ軍の象徴にもなっています。
しかし、ウクライナ軍が保有するバイラクタルTB2は、侵攻当初6機のみでした。
そのうち、2機がロシア軍に撃墜されたという情報もあり、ウクライナ軍はバイラクタルTB2の追加配備を準備しています。
「迎えの車より、弾薬をくれ!」
英米がウクライナのゼレンスキー大統領をウクライナ国外へ脱出させ、亡命政府を樹立させようとする中、ゼレンスキー大統領は、「迎えの車より、弾薬をくれ!」と発言し、ウクライナ国内で戦うという強い意志を表明しました。
また、各国に軍事支援や人道支援、義勇兵など多くの援助を求めています。バイラクタルTB2のほかにも、各国から支援された兵器があります。
世界最強の携行式ロケットランチャー・FGM-148 ジャベリン
米国で開発された携行式の対戦車ミサイルですが、戦車のみならず建築物や野戦築城、低空飛行のヘリコプターへの攻撃にも有力です。
ウクライナ軍が発射したこのジェベリンが、ロシア軍ヘリを撃ち落す映像もニュースで流れ、話題となっています。
ミサイルの弾道が2種類あり、戦車の装甲が薄い上部を狙うトップアタックモードと、建築物などに直撃をさせるためのダイレクトアッタクモードがあります。
射程距離は2000mです。
ミサイルの全長は、1.1m、重さは22.3kgですが、一人で持ち歩くことが可能で、その扱いの習得も容易なことから多くのジェベリンが米軍からウクライナへ輸送されました。
対人、対戦車携行式ロケットランチャー・SMAW-D
こちらも米国からの軍事支援でウクライナに渡りました。
米国海兵のSMAWを改良したもので、建物を破壊することも可能です。
射程距離は1000mです。
携行式短距離対戦車ミサイル・NLAW
イギリスとスウェーデンが開発したもので、有効射程は800mと短距離ながら、最大5秒間のロックオンが可能なため、移動体の追尾攻撃も可能です。
ロシア軍の主力戦車、T-72に致命的な打撃を与えました。
イギリスはこのNLAWをウクライナへ2000基も輸送したといいます。
ウクライナ国外に留まる軍事協力体制
各国はウクライナへの軍事支援を続けていますが、第三次世界大戦の開戦を恐れています。
それでも、ロシア軍とその援軍に非人道的な行為を見過ごせないとし、各国の軍事支援は徐々に強固なものに変わりつつあります。
デンマーク、スペイン、オランダは、ウクライナ近辺諸国に戦闘機を派遣しました。
米国もポーランドへ戦闘機を提供すると公表し、ウクライナを中心に、西側諸国とロシアの緊張はより高まっています。
各国が公に軍事介入ができないため、ウクライナ軍や国民が各国から支援された最新兵器を手に、ロシア軍の猛威を防いでいる状況が続いています。最先端の兵器は、世界最強の陸上部隊ともいわれるロシア軍にも通用するもので、ロシア軍と戦うウクライナ軍の希望の1つとなっていますが、戦争が終わるまでに、あとどれくらいかかるのか、いまだ不明です。停戦と平和を願い、この情勢を冷静に見守っていきましょう。
参考 : businessinsider, time, wikipedia, など
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