「火の無いところに煙は立たぬ」ということわざがあります。
根拠がまったく無ければうわさの立ちようがない、という意味ですね。
何事にも原因があり、下世話なうわさ話であっても、何かしらの背景があるはずである、即ち世の中には因果関係に溢れている、ということを示唆しています。
他方、この世の中、言い換えれば宇宙の誕生についてはどうでしょうか。
その起源について、今まで様々な人が多種多様な説を唱えてきました。
ビッグバンと呼ばれる宇宙が生まれた大爆発の前には、一体どのような世界だったのでしょうか。
今回は世界誕生前の姿について考察してまいります。
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宇宙起源の最も有力な説であるビッグバン
宇宙が誕生する前の姿かたちに思いを巡らせる前に、ビッグバンという現象について復習しておきましょう。
20世紀までの物理学者の間では、そもそも宇宙に関して始まりや終わりという概念はなく、どこまでも無限に継続し、広がっている存在として認識され、特段疑問視されてきませんでした。
しかし、エドウィン・ハッブルにより、遠い銀河ほど速い速度で遠ざかっている、宇宙は拡大し続けていることが発見されてから、その風向きは変わりました。
拡張しているのであれば、その前にはどこか一点に集中していた時期があって、それが、宇宙が生まれた時ではないか、と考えられました。
膨張を遡ると縮小に繋がりますので、考察の流れ自体に不思議はありません。次の段階として、ある一点は、何をきっかけに膨らみ始めたのか、疑問が生じました。
この問いに対し、原子核物理学者のジョージ・ガモフは、最初の宇宙の形は、極めて高温の火の玉であるという説を打ち出しました。
その後、1964年、宇宙に飛び交う電磁波の観測によって、この説の裏付けがされました。
私たちがよく知っているビッグバンという理論です。
なおこの呼称は、作家のフレッド・ホイルにより付けられました。何もないところから生まれた爆発として、皮肉めいたニュアンスが込められています。
ビッグバン発生前の宇宙に関する仮設その1「すべてが無であった」
今でこそ私たちは、宇宙の起源はビッグバンだとして認識していますが、実際のところ誰も証明できないため、推測の域を出ません。同様に仮説でしかありませんが、この大爆発が起こる前について、いくつかの考察がなされていますので、ここでご紹介していきます。
一つ目は完全な無の空間であった、という説です。
宇宙空間に物理的なものが無かった、という意味ではなく、時間や空間、エネルギーといった、何もかもが存在しなかったことを示します。言葉としては理解できるものの、実際このような完全な無という状態は、なかなか想像が及びません。
しかしながら、量子重力という理論によると、全くの無である出発点から、突如有限の事象である宇宙が生まれることがあるそうです。
別称トンネル理論といい、通常通過できない箇所を、電子がある一定の確率ですり抜ける可能性がある、とのことです。
どんなに小さな点でも、本来移動しえない場所に、突然発現することがある、という当該理論を用いると、この点が火の玉となり、ビッグバンに繋がり宇宙が生み出された、という経緯が考えられます。
私たちの理解が及びにくいところですが、可能性だけは十分考慮し得るようです。
ビッグバン発生前の宇宙に関する仮設その2「生誕と終焉を繰り返している」
ある意味現世と真逆である完全なる虚無の世界から、唐突に宇宙のきっかけが生まれたとする説は、なかなかにして信じ難いところです。
次の説も同様に、誰もが証明できるところではありませんが、仏教の輪廻転生を彷彿とさせます。
即ち、生誕と終焉を繰り返している、というものです。
ビッグバンが発生したというポイントは同じなのですが、それ以前は古い宇宙、言い換えると別の宇宙が存在していたと言います。半永久的に誕生と消滅を繰り返していて、その境目に大爆発のような現象が都度発生していることになります。
とある物理学者の計算によると、現在私たちが住むこの宇宙は、膨張と縮小を30から50回繰り返した後の状態です。
一つ前の宇宙には地球は存在していませんでした。先の説と比べても、かなり飛びぬけた発想ですね。
なおこの理論は、かのアインシュタインも研究対象としていたそうです。
以上のようなご紹介した説以外にも、宇宙が誕生する前はどのような状態であったのか、諸説入り乱れています。各々がかなり難解で、解読が非常に困難であるため、本稿では割愛させていただきます。
ご興味がある方はぜひ調べてみてください。
今回は、宇宙の起源と言われているビッグバン発生前について、唱えられている説の一部をご紹介しました。私たちが暮らす宇宙は、今この瞬間にも、速度を上げて膨張し続けています。ますます観測が難しくなっていく中、この命題に解がもたらされる日はやってくるのでしょうか。
参考 : latimes.com, wikipedia, など
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