技術は進歩した今日、地球を周回する宇宙プロジェクトは一般的になりました。
しかしながら、地球の周回を飛び出して、他の天体に人類が踏み込むには至っていません。
無人の探査機を飛ばして、天体の地表の土を地球に持ち帰るのが精いっぱいです。
各惑星を回る衛星については、なかなか話題に上ることがありません。
今回は、太陽系にある衛星の生命存在の可能性についてご紹介します。
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土星の衛星に見える地球の原型?!
地球とよく似ている惑星として、しばしば「火星」が取り上げられます。
地球に最も近い惑星であり、大気が主に二酸化炭素で構成されていることからです。
では、地球に似ている天体は火星だけでしょうか?
実は、太陽系にもう一つありました。
それは、土星の第六衛星「タイタン」です。
まずは「タイタン」の見た目です。
火星の表面は赤々としていて、地球とは似ても似つかない見た目です。
対してタイタンの表面は青々としており、その姿からは容易に地球を連想させるでしょう。
米ジョンズ・ホプキンス大学の惑星科学者サラ・ホルスト氏は、「窒素を主成分とする大気を持つことが分かっている天体は、地球のほかにはタイタンだけです」と言っています。
しかし、地球との共通点は窒素だけのようです。
地表の温度はマイナス170度であり、メタンやエタンの「炭化水素」が液体化し、川や海を構成しています。
さらにホルスト氏は、「タイタンの大気中では、酸素ができる前の初期の地球で見られた化学反応の多くが起こっていると考えられます」
このタイタンの状況は、地球に生命が生まれて酸素が満ちる前に酷似しているようです。
比較的地球と共通点が多い天体が、土星の「衛星」として存在したことを知っている人は、少ないのではないでしょうか。
冥王星を惑星から追いやった? 準惑星「エリス」
2005年に発見されたのが、準惑星「エリス」でした。
「エリス」は冥王星とほぼ同じ大きさで、発見当初は「10番目の惑星か?!」として注目されました。
しかし、これまで惑星として認知されていた冥王星が、2006年の「準惑星」に”格下げ”されたと同時に、「エリス」の惑星入りは幻に終わりました。
生命の存在を期待される「エウロパ」
現在もっとも注目されている天体として、木星の第二衛星「エウロパ」が上げられます。
それは、「生命が存在する可能性がもっとも高い」とされているからです。
「エウロパ」の大きさは月と同じくらいで、表面は氷に覆われています。
そして、その氷の下には60マイル(約96.6km)の深さの海が存在していて、それは地球よりも多い海水があることを突き止めました。
この事実をもって、NASAジェット推進研究所(JPL)のエウロパミッション科学チームのメンバーであるシンシア・フィリップス氏は「太陽系で地球ではない場所で生命の存在を探すとすれば、エウロパは最適な場所のひとつです」と言っています。
しかし残念ながら、現在の技術ではこれ以上「エウロパ」に迫ることができません。
「エウロパ」の生命を探るために、地表に着陸して、地表の氷を突き進むドリルの開発が必要です。
ドリルの試験は実際に行われていて、氷の下の海にたどり着くには、ドリルで3年間の掘削が必要だと試算されています。
今後「エウロパ」がニュースワードに出現したときには、同時に「地球外生命の発見」につながることが期待できそうです。
大きすぎる衛星「月」
最後にご紹介するのは、地球の衛星である「月」です。
惑星の4分の1の大きさをもつ「巨大な衛星」は、他に類を見ません。
この大きすぎる衛星によって、地球には巨大な「潮汐力」が生み出されます。
この潮汐力は海の干潮だけでなく、女性の性周期にも影響していると言われています。
地球の衛星「月」が大きすぎたことが、地球の生命誕生に不可欠だったことは、間違いないようです。
衛星をもった惑星に共通した末路
自然の摂理として、永遠に続く事象はありません。それは天体においても例外ではありません。
火星の衛星「フォボス」は、火星に引き付けられており、火星への衝突、もしくは潮汐力による破壊が見込まれています。
海王星の衛星「トリトン」は、自転にブレーキがかかっており、「フォボス」と同じように海王星への落下、もしくは潮汐力による破壊が見込まれています。
月は「フォボス」や「トリトン」とは逆に、地球から遠ざかっていることがわかっています。
月が無くなることで潮汐力を失った地球からは、海の干潮がなくなります。
「生命の源」だった海の干潮がなくなることは、地球上の生命の根絶を意味します。
惑星は衛星があることで、現在の環境を維持しています。
関係を維持する上では、日々少しずつ変化していることが含まれています。
変化しているということは、必ず「関係の終わり」が来ることを意味しています。
技術の進歩によって、太陽系の謎は次々と明らかになっています。しかし、どれだけ解明が進んでいったとしても、未知の部分が無くなることはないでしょう。今解明されている人類にとっての大問題は、月が無くなってしまう未来です。
人類は月が無くなる前に、次に住処とする惑星や衛星を見つけることが課題になるのです。
参考 : sciencealert, esa, Wikipedia, など
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