宇宙には、たくさんの星が存在していることは周知の事実ですが、私たち地球人が詳細まで把握している星はごく一部です。
何千年も前から人々は宇宙に興味を持ち、星に関する調査を長い時間をかけて行ってきました。
研究方法は日々発展し、現在では様々な捜索方法を含む研究方法が存在します。
今回ご紹介する惑星は、これまでにも存在は確認されていたもので、他の捜索の方法を応用した結果新しい事実を知ることができた良い例です。
今回は、その捜索方法と惑星についてご紹介いたします。
「L98-59」の惑星
2019年に、とびうお座に存在する恒星系「L98-59」の近くで、惑星が3つ見つかりました。
当時、惑星の存在とともに、そのサイズについてもそれぞれ発表されました。
この時使われていたのはトランジット法という捜索方法だったのですが、新たにドップラー分光法を取り入れたことにより新発見があったのです。
系外惑星の捜索方法としてよく使われるトランジット法について先にご紹介し、それに続いてドップラー分光法に関してもご紹介します。
トランジット法
トランジット法とは、系外惑星の捜索として主に使われる方法です。
トランジット、つまり、恒星の前を惑星が通過する時に、恒星の一部が隠されて地球からの見え方が変わることを利用した方法です。
恒星の一部を隠すのが、恒星の周りを回っている惑星です。
恒星が発する光を地球上で捉え、その恒星を観察している時に恒星・惑星・地球と直線上に並ぶと、恒星にかげができることを観測できます。
定期的にかげができることを確認できれば、恒星の周囲の惑星が公転しているという結論が得られます。
この捜索方法は大変重宝され、多くの場面で利用されており、惑星の大きさが推測できる重要な方法です。
しかし、この方法にはデメリットがあります。
それは、位置関係として恒星・惑星・地球のように直線上に並ばない位置で公転している惑星の存在については調べられないということです。
そこで着目されるのが、「ドップラー分光法」という捜索方法です。
ドップラー分光法
ドップラー分光法では、恒星の光の揺らぎを観察します。
恒星とその周りを回る惑星は、互いに引力で引き合っており、惑星の位置が変わることで恒星が引っ張られて揺れるので、それを観測して惑星の存在を知ることができるのです。
つまり、トランジット法のように直線上に並ばない惑星の存在も発見できます。
メリットはそれだけではありません。
「質量」を知ることができる方法なので、トランジット法などで大きさが判明していれば、密度を求めることもできます。
密度を知るメリット
惑星の構成成分を検討する際に、密度は大変重要な情報です。
岩石や金属などが主成分であった場合には密度が高くなりますし、ガスが主成分であれば密度は低くなります。
今回のメインテーマでもある「L98-59」の惑星をドップラー分光法で調査した結果、密度が判明し、成分を推測することができました。
その結果、3つのうち2つが岩石惑星、1つが海洋惑星である可能性が出てきました。
また、これまで発見されていなかった2つの惑星の存在の可能性も見つかりました。
そして、この2つのうち1つが、より注目を集めています。
その理由は、惑星の位置にあります。
ハビタブルゾーン
ハビタブルゾーンとは、生命体が存在できる領域であり、生命居住可能領域などの呼ばれ方もします。
新しく存在の可能性が知れた惑星の位置がハビタブルゾーンにあるので、その惑星が本当にあったとしたら、生命体が存在している可能性が他の惑星よりも高いのです。
今後他の調査方法なども組み合わせることで、惑星が本当に存在しているのか、生命体が存在しているのかがわかる日がくるのかもしれません。
同じ惑星に関して調べても、研究方法が異なれば見える事実も異なります。
これまでトランジット法でしか調べていなかった惑星も、ドップラー分光法などの他の研究方法でも調べると、新事実を発見できるかもしれません。
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