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人工衛星の機能喪失は人類に何をもたらすのか?

人工衛星の機能喪失は人類に何をもたらすのか?科学
人工衛星の機能喪失は人類に何をもたらすのか?

 

地球の周りに存在する無数の人工衛星。そんな人工衛星が全て消滅してしまったら、地球はどうなってしまうのでしょう。

実は、人工衛星の機能が全て停止してしまうという可能性は十分にありえます。今回は、実際に想定されている3つの人工衛星機能停止シナリオとその後の世界について、ご紹介します。

 

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戦争による人工衛星の破壊

1つ目のシナリオは、戦争による人工衛星の直接的破壊です。

対人工衛星用の兵器によって多くの人工衛星の機能が失われてしまう状況は、近未来の戦争を描写したSF小説Ghost Fleet(ゴーストフリート)にも描かれているように想像に難しくありません。 

地球上からの物理攻撃だけでなく、通信の妨害、高高度気象観測ロケットや高高度核兵器を利用することによっても、人工衛星の破壊や機能停止は可能です。

このことは、公共政策と科学的な問題についての研究を進めている、アメリカ合衆国バージニア州のシンクタンク、ジョージ・C・マーシャル研究所によって発表されています。

 

太陽嵐による機能停止

2つ目のシナリオは、大規模な太陽嵐の影響により、人工衛星の機能に障害が発生するというものです。

1859年発生した、キャリントン・イベントと呼ばれている太陽嵐と同規模の太陽嵐が発生すれば、衛星軌道上の装置は焼失し、送電網にも大きな負荷がかかることになり、未曾有の大被害となることが想定されます。

太陽嵐の影響は、地球磁場により守られていない高高度の軌道をとる衛星には、特に大きなものとなります。

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ケスラーシンドローム

最後のシナリオは、ケスラーシンドロームと呼ばれる現象です。この現象については、2013年に公開されたゼロ・グラビティでも描かれています。

同作品内では、ロシアがミサイルにより不要な人工衛星を破壊したことを発端に 危険な連鎖反応が発生し、無数の宇宙ゴミからなる雲が発生しました。

ケスラーシンドロームにより発生した雲に飲み込まれたものは、どんなものであっても破壊されてしまいます。

現在では、その雲の発生原因となる宇宙ゴミの総量が 年々増加しており、その増加に伴ってこのシナリオが発生する可能性も高まり続けています。

 

人工衛星機能停止により発生する問題 

ここからは、実際に人工衛星の機能が失われてしまった後に訪れる、地球で起こることが想定される5つの事象についてご紹介していきます。まず1つ目は、通信機能の制限です。

現在人工衛星に頼っている通信の帯域幅は、当然ですが、人工衛星の機能停止に伴い消失します。その結果、必然的にデータ通信や国際電話の通信ルートは、地上又は海底ラインへ変更を迫られます。

ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクドウェル氏によれば、それらの通信ルート変更を行えば、各ルートは容量オーバーにより通信不可の状況に陥る可能性があるとされています。

当然、その影響はインターネット回線や携帯電話、テレビ放送にも及びます。通信環境を人工衛星に依存している地域では、そういったサービスは利用できなくなってしまうでしょう。

実は、この現象には前例があり、1998年に発生した、たった1台の人工衛星の故障をキッカケに、全世界でポケベルの使用が不可能になったことがありました。

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GPSシステムの崩壊 

また、GPSシステムの利用も不可能になります。身近なところでいうと、カーナビが使用できなくなってしまいます。

それだけではなく、航空機では最適ルート設定のためにGPSを利用していますし、海運でも交通結節点やサプライチェーン・マネジメントなどにGPSが活用されています。

また、GPSは単純な位置情報システムではなく、人工衛星経由で標準時間を知らせる時間情報システムの側面も持っています。

つまり、GPSが停止し、数時間が経過すれば、クロックの変動の影響で緻密な同期に支えられている分配ネットワークは正常に機能しなくなってしまうのです。

その影響は、金融システムから送電システムまであらゆる業態に及ぶでしょう。

アメリカ合衆国商務省宇宙商務局の報告によれば、GPSの停止はインターネット回線、携帯電話、テレビやラジオなどの放送設備、ATMやクレジットカードなどの決済システム、さらには電気インフラにも影響を与えるとされています。

また、無線通信の中でもCDMAに準拠したものへの影響は大きく、通信が不可能になると想定されます。それにともない、他の通信ルートに情報が集中し通信ネットワーク全体の速度低下も免れません。

これは現在の主要ネットワークのほとんどが、インターネット・プロトコルに準拠しているため、情報到達には、精密なタイミングが必要とされるからです。 

適切な同期が不可能になることは、特に金融機関には決定的な問題ですので、銀行口座の凍結等が発生し金融危機が訪れる可能性は大いにありえます。 

 

軍事機能の喪失 

もともと人工衛星は軍事的設備という側面も持っているので当然ですが、その機能停止は軍機能にも影響を及ぼします。 

ジョージ・C・マーシャル研究所は、人工衛星をアメリカ軍の要であり、主要軍事活動の決定的な実現要因とまで述べています。 

現在稼働している人工衛星は1,100機にも及び、経済だけでなく軍事においてもその機能は必要不可欠なものとなっています。GPSによる位置情報取得や通信、諜報活動まで様々な活動に利用されています。 

中国やロシアなどの大国は、新世代の対衛星兵器の開発を進めており、アメリカにおいては約6兆円にも及ぶ宇宙軍事システム予算を成立させるなど、その重要性は年々増していると、軍事専門家のピーター・W・シンガー氏は語っています。

人工衛星機能が失われると、戦争は全時代のデジタル戦への逆行を余儀なくされます。ミサイルやドローンなどの電子制御兵器だけではなく、地上部隊でさえ計画通りに目的地で作戦を遂行できなくなると想像されます。

現在のハイテク機器に支えられた戦略は全て修正が必要となり、宇宙を失った戦争は、索敵が著しく困難になり、まるでゲームのようになってしまうでしょう。

また、戦闘だけではなく、兵器の管理自体への影響も小さくありません。人工衛星による宇宙からの監視がなくなった世界では、どの国がどのような兵器開発を行ってもそれを知る術はないのです。 

 

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気候科学の停滞 

続いて説明する現象は、気候科学の停滞です。人工衛星から得た情報による天気予報は、雨の予測だけではなく、危険なモンスーンの予測など人命に関わる予測にも役立っています。 

アメリカ合衆国海洋大気町の試算によれば、人工衛星の気象予測による被害回避額は3,700億円にものぼるとのことです。 

人工衛星の機能停止後、数週間では気象予測の面においてはそれほど影響を感じないかもしれませんが、数年が経過すればその影響は計り知れないものになります。 

大気中の二酸化炭素濃度やオゾン層の状況、極氷の分布などの観測は不可能となってしまいます。 

地球上のあらゆる観測は人工衛星に支えられているという事実を思い知らされることになるでしょうし、宇宙で発生する太陽嵐の到来なども当然観測できなくなってしまいます。 

 

復旧に必要となる莫大なコスト 

人工衛星の復旧は、とてつもない時間と費用を要するものとなります。 

特に、キャリントン・イベントの場合は、地球上のシステムもかなりのダメージを受けることになるので、より一層の時間と費用が必要になります。 

アメリカ軍はこれに備え、地球低軌道に小型人工衛星を配備し、緊急物資を輸送可能なように対応を進めています。キューブサットと呼ばれる小型人工衛星は、コストも低く容易に打ち上げが可能なものです。 

そのため、アメリカ合衆国救急対応宇宙局はキューブサットへ緊急補充や、戦闘機による作戦遂行となる能力の搭載を検討しています。 

しかしながら、そういった対応だけでは十分ではなく、人工衛星の完全な機能復旧のためには、静止衛星を従来の軌道に戻すという困難な作業があります。 

 

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新しい衛星建造には数年の月日を要しますし、その費用は非常に高額になります。さらに、ケスラーシンドロームが発生した場合には、全く異なる復旧作業が必要となります。 

宇宙ゴミの雲がなくなるためには、少なくとも11年程度の間、高度500km以下の物体が地上に落下してくるのを待ち続ける必要があります。 

それでも、それより上空のゴミを除去する事は現在の技術では不可能で、その技術を開発する事ができなければその領域は永久に利用できないままとなってしまいます。 

唯一救われる点は、ケスラーシンドロームは地球低軌道と地球静止軌道にまたがって 発生する事がないという点です。低軌道の物体と静止軌道の物体は互いに両軌道間を移動することができないのが、その理由です。 

 

いかがでしたか?
今回は、人工衛星の機能停止によりもたらされる様々な影響について説明させていただきました。私たちの生活を支えてくれている人工衛星ですが、それは機能停止に陥った際には、地球に甚大な影響を与える 諸刃の剣であることを意識しておかなければいけないのかもしれません。今後も人類の技術革新が続き、より一層安心して人工衛星を利用できる日がくればいいですね。 
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