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深海探査への挑戦 ~有人潜水の最深記録の歴史~

深海探査への挑戦 ~有人潜水の最深記録の歴史~科学
深海探査への挑戦 ~有人潜水の最深記録の歴史~

これまで人類は様々な探検に命懸けで挑み、多くの功績を残してきました。陸、海、空はもちろん、1960年代にはアメリカのアポロ計画により人類が月に到達する偉業も成し遂げました。

そして探検は現在も続いていますが、地球の3分の2以上が水に覆われているにも拘らず、海底、特に深海については 今なお謎に包まれたままです。

アメリカの海洋大気研究所によると、海の95%は未開拓だと言います。今回は、深海の探査・研究に挑戦してきた歴史を 紹介します。

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世界初の有人潜水球「バチスフィア」

最初の潜水球はアメリカの発明家であるオーティス・バートン氏が1928年に考案しました

鋼鉄の球殻を鋳造によって作られた最初のものは 実用上重過ぎたため、厚さ約2.5センチメートルの鋳鋼ちゅうこう)でできた 直径約1.5メートルの中空球体に変更されました。

こうして完成した有人潜水球「バチスフィア」は、動力を持たず、直径約2.5センチメートルのケーブルで海中に吊り下ろされるものでした。

潜水球の狭い内部には、電灯や海上と通信するための電話をはじめ、高圧の酸素ボンベ、二酸化炭素を吸収する ソーダ石灰や 湿気を吸収する塩化カルシウムを入れた容器などがあり、外を観察する2つの窓には 厚さ約7.6センチメートルの 融解石英がはめ込まれ、その内1つの窓にはスポットライトも取り付けられていました。

潜水球の入り口は約180キロの重さのハッチをボルトで固定し、浸水を防いでいました。1930年6月6日、バートン氏は、探検家で博物学者の ウィリアム・ビービ氏と共に、この有人潜水球「バチスフィア」で世界初の有人潜水に挑戦し、245mの深度に達したのです。

更にこの二人は、1934年8月11日、770メートル地点まで潜水して 珍しい深海生物の姿を観察し、さらにその4日後である 8月15日に 923メートルまで到達し、遂に潜水深度の世界記録を打ち立てました。

これは15年間、誰にも破られることはありませんでした。現在、潜水球「バチスフィア」はニューヨーク州ブルックリンのコニーアイランドにあるニューヨーク水族館に展示されています。

ラジオでライブ放送された潜水の様子

1932年9月22日午後、深海に向けて潜水している有人潜水球からのライブ放送が、アメリカとイギリスのラジオで流れました。

潜水球には、この有人潜水球「バチスフィア」を設計したバートン氏と生物学者のビービ氏が乗り込んでいて、アメリカのベル研究所が提供した電話システムを通じ、ビービ氏が深海で見られる海洋生物のことを説明していたのです。

実際の放送は、水深460メートル地点での実況放送でしたが、二人はここからさらに深海へと潜っていったのです。

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深海の海洋生物に魅せられた二人

当時の潜水艦ですら120メートルの深さまで潜ることが不可能だった時代に、この二人はどうして深海を目指したのでしょうか?

それは、決してスリルを味わうためではなく、深海に生息する海洋生物を観察したいという理由からでした。

深海に生息する生物についての知識は、漁を行っている時に偶然、網などで引き揚げられた生物から得るしか方法が無く、その生物が生息する環境で 生きて泳いでいる姿を 誰も見たことがありませんでした。

30回の深海潜水で観察された生物

1930年に行われた初の有人潜水以来 4年以上、この二人の探検家は30回近く深海探査を繰り返し、その潜水深度を更新していきました。

そして バートン氏とビービ氏は、深海に生息する様々な生物を観察したのです。1931年6月のメディア記事には、ビービ氏が観察した生物たちのメモから描き起こされた 美しいイラストも付いていました。

初めて目にするこれらの多くの生物は、高度な水中撮影技術の登場によって、実際に確認されるようになりました。

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深海生物に関する議論

1934年に923メートルの深度まで到達し、世界記録を打ち立てた潜水球「バチスフィア」の偉業は、多くの科学者や海洋学者たちにとって大きな刺激となりました。

ビービ氏は「バチスフィア」での潜水で発見された新種の深海生物に命名していますが、その深海生物関しては 現在でも議論の対象となっているものがあります。

それは ビービ氏以外に新種の深海生物の目撃者がいないものがあるからで、窓が曇っていたことによる観察ミスを疑う者やビービ氏の妄想ではないかと批判する者までいたようです。

現在の潜水深度の記録

2012年、映画制作者で水中探検家であるジェームス・キャメロン氏は、深海潜水艇「ディープシー・チャレンジャー」号を操縦し、世界で最も深いマリアナ海溝の海底に向かい、10,913メートルまで潜水しました。

この記録は、1960年にドン・ウォルシュ氏とジャック・ピカール氏が スイス製深海潜水艇「トリエステ」号で達成した記録と同じ深度でした。

2019年にはアメリカの海底探検家ビクター・ベスコボ氏が、有人潜水艇でマリアナ海溝のチャレンジャー海淵かいえん)で単独潜水に挑戦し、10,927メートルの海底に到達、新記録を達成しました。

この潜水でベスコボ氏は、生命の起源を探る手掛かりとなり得る4種の新種生物を発見したそうです。

端脚類というエビによく似た巨大な甲殻類や、海底に生息するナマコの他、水深7000メートル地点で ユムシと呼ばれる生物を、水深8000メートルではシンカイクサウオを目撃したそうです。

また、今回の潜水探査は「ファイブ・ディープス・探査」と名付けられた、マリアナ海溝をはじめとする 世界の5大深海の探査を行うプロジェクトの一環で、大西洋・南極海・インド洋・太平洋・北極海 それぞれの最深部を探査するそうです。

マリアナ海溝の他には、大西洋のプエルトリコ海溝(水深8376メートル)、南極海のサウスサンドウィッチ海溝(水深7433メート)、インド洋のジャワ海溝(7192メートル)でも探査を行いました。

最後は まだ 誰も海底まで潜水したことのない 前人未踏の北極海のモロイ海淵(5550メートル)で探査を行うそうです。

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中国の潜水艇もマリアナ海溝の海底に到達

2020年11月、中国国営の中国中央テレビが、中国の有人深海潜水艇「奮闘者号」が、地球で最も深いとされる フィリピン東部のマリアナ海溝の海底に到達したとする動画を配信しました。

中国中央テレビによると、有人深海潜水艇「奮闘者号」には3人の研究者が登場していたそうで、配信された動画には、潜水艇が暗い水中をゆっくりと進み、海底に到達する様子が映っていました。

「奮闘者号」は、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵で潜航し、中国国内の有人での潜水深度の記録を水深10,909メートルまで更新したそうです。

これは、2019年にアメリカの海底探検家ビクター・ベスコボ氏が打ち立てた世界記録10,927メートルには及ばない記録ですが、中国の研究者は「海底にいる多くの種や生物の分布を観察している」と語り、研究用に標本を採集する予定だそうです。

「奮闘者号」は、深海掘削の推進を計画している中国が製造した3隻目の有人深海潜水艇で、マリアナ海溝の海底において「深海の物質」の調査も計画しているといいます。

さらに、中国政府は国際海底機構と共同で研究訓練センターを設立し、深海関連テクノロジーの専門家の研修や、海底資源の採掘に関する調査も行っていくといいます。

いかがでしたか?
未知の領域である深海の探査には世界各国が関心を持っているようです。より精密な海底地図の作成にはじまり、基礎的な学術研究、新種の生物の発見や海底資源の採掘など、科学的な発展が期待されます。さらに、深海探査によってプラスチック汚染の証拠も発見されたそうです。深海探査で採取した深海生物の体内に蓄積された「マイクロプラスチック」の量を調べる検査を行うそうで、今後も様々な分野において深海探査が応用されることを期待したいと思います。
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