今、私たち人類が住まう地球上に残されている環境問題は非常に深刻なものとなっています。
移動を繰り返す人々は自動車などから排気ガスを噴出し、工業地帯にある煙突からは多くの汚染物質が垂れ流されています。
そこで、宇宙人が存在する可能性を調査している研究者たちは地球の環境問題と汚染について注目しました。
地球が環境問題に悩まされているのであれば、はるか遠くの宇宙で高度な文明を築いている宇宙人も同じように環境問題に悩まされているかもしれないと考えたのです。
今回は、NASAが考案した宇宙人を探す方法について ご紹介いたします。
系外惑星のテクノシグネチャーがヒントになる
これまでに4000個以上も発見されているという系外惑星は、生物が生きながらえることができるだけではなく、高度な技術を保持することができるほどの進化も、不可能ではない環境であるといわれています。
しかし既存のテクノロジーでは、生物が存在していそうな系外惑星に探査機などを送信し、現地調査を行うことはできません。
そのため、生物が存在しているかどうかを調べるためには、惑星を覆うメタンガスや酸素などといった大気中の物質をヒントにする必要があります。
このような文明が築かれている可能性を示唆しているものは「テクノシグネチャー」と呼ばれています。
テクノシグネチャーとなるのは二酸化炭素?
過去にも、フッ素や塩素、炭素からなるクロロフルオロカーボン・通称フロンをテクノシグネチャーとして調査した研究は存在しています。
しかし、フロンはほかの物質とは異なった構造をしており、フロンが生成されている=文明が築かれているとはならないことが判明しました。
そこで、二酸化窒素であればテクノシグネチャーとなるのではないかと考えました。
二酸化窒素は通常の燃焼により生成されるためです。
大気中に存在する二酸化窒素は、たくさんの色を吸い込んでしまうという性質があります。
そのため、系外惑星に映されている光の色素が淡ければ淡いほど、二酸化窒素が存在する証明となります。
反対に、光の色素が濃いのであれば、二酸化窒素が存在する可能性は低いといえるでしょう。
今後作られる望遠鏡で二酸化窒素を見つける
今回の研究では、望遠鏡で二酸化窒素があると証明するものを調べることができるかの確認が実施されました。
すると、地球と類似した環境の惑星であれば、近い将来に完成するであろう大型の望遠鏡を用いての調査が可能であることが分かりました。
その大型の望遠鏡では、最高で30光年先まで観測することができるのだそうです。
さらに、もう1つ分かったことがあります。それは、低温の惑星のほうが二酸化窒素を発見しやすいということです。
M型星やK型星といった比較的低温の星は、二酸化窒素を分解する紫外線が少量であるためです。
「二酸化窒素がある=文明が存在する」ではない
二酸化窒素が大気中に含まれている場合、その惑星に生物が存在している可能性が高いですが、二酸化窒素が含有されているからといって生物が存在していたり、高度な文明が築かれているとは限りません。
なぜなら、二酸化窒素は生物が存在していなくても、もともとの環境の影響で起こる化学反応などでもつくられるためです。
地球では、私たち人類が生活することによって生成される二酸化窒素は、全体で約76%ほどであるといわれています。
つまり、残りはもともとの環境が影響することで起こる化学反応からつくられた二酸化窒素であるということです。
このように、文明があるからつくられる二酸化窒素と、その環境によってつくられる二酸化窒素があるため、系外惑星のことを調べる際には、環境によってつくられる二酸化窒素の最大排出量を予測し、何が原因でつくられた二酸化窒素であるのか判断しなければなりません。
NASAが考案した宇宙人を探す方法についてご紹介しました。どこかの惑星にテクノシグネチャーが見つかれば、それは宇宙人を発見するための大きな1歩となるに違いないでしょう。もしかしたら、宇宙人が発見される日も近づいてきているのかもしれません。
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