地球に住む私たち人間は、宇宙の調査を日々進めています。
その目的は様々で、探究心からくる調査、今後地球以外に住める場所を探すための調査、生命体が存在しているかの調査など、多岐にわたっています。
それらの調査をするためにも、多くの課題が残っており、たとえば、金星はその過酷な環境ゆえに、調査に耐えうる素材・機器の開発が課題となっていました。
しかし、金星は「地球の悪魔の双子」と言われるほど似ている惑星であり、過去に生命体が存在していた可能性も他の惑星よりも高いため、研究の意義は大いにあります。
そのため、現在でもなんとか金星での調査を可能にするために、複数の研究がされているのです。
今回は、その過酷な環境である金星の調査に関してご紹介します。
地球に似た惑星
金星は地球の双子の星と言われるほど似ていると申し上げましたが、そのいくつかの共通点をお伝えします。
質量・サイズ・重力が、地球とそっくりであるというのが、金星の大きな特徴です。
そして、太陽系の並びとしても地球の隣に位置しており、太陽からの距離も地球と比較的同程度です。
しかし、これであればただの地球の「双子」のような惑星です。金星が「地球の悪魔の双子」と呼ばれ、わざわざ「悪魔」と付けられているのには理由があります。
金星の過酷な環境
わざわざ「悪魔」と付けられる理由ですが、それは地球とはあまりにもかけ離れた、金星の過酷すぎる環境にあります。
金星の温度は460℃で、これは亜鉛や鉛といった金属が溶けだしてしまうほどの温度となります。
それに加えて、気圧が大きすぎることや、強風が吹き荒れていることも過酷な環境を構成する要素です。
金星は過去に生命体が存在していた可能性が高い惑星とされていますが、現在残されているのはこのような過酷な環境なのです。
過去の調査
ご紹介したように、金星は過酷な環境であるがゆえに、調査にも困難が生じていました。
最初に金星に探査機が着陸したのは1966年で、今から50年以上前の話になります。
しかし、金星はあまりにも過酷な環境であるために、地表で探査をすることが難しく、調査に割ける時間が十分にないほどの滞在しかできませんでした。
それらも原因となって、金星は地球に最も近い惑星であるにもかかわらず、あまり調査がすすんでいません。
実際に、金星は太陽系の中で、最も解明されていない惑星とされているのです。
今後の調査
このような調査が進まない状況を打破するためには、金星の環境でも耐えられるような素材・機器の開発をすることが最優先です。そして、努力の結果、NASAが新たな探査機を開発することに成功しました。
その名も「Long-Lived In-Situ Solar System Explorer(LLISSE)」です。
部品どれもが過酷な環境に耐えられるように作られており、最長で60日間ほどは滞在できるほどの耐久性を持っています。
1辺が25cmの立方体の中に、調査するための機器がコンパクトに収納されており、今後の調査で大きな役割を担うと期待されています。
調査の実施
ただし、LLISSE の開発ですべてが解決できたわけではなく、LLISSEが正常に作動するためにもいくつかの課題が残っています。
センサーの硬さをあげること、カメラを搭載すること、消費電力を制限して60日もの間動力を安定して与える方法など、まだまだ改善の余地があるのです。
金星の環境にできる限り合わせて、地球でもシミュレーションをしたいものですが、まだ金星の環境は未解明な部分も多く、再現するにも少々時間はかかってしまう可能性があります。
しかも、LLISSEの開発の目安となっている「ヴェネラーD」という共同ミッションも延期されており、しばらくはLLISSE の改善とヴェネラーDのミッションの実行の見通しを立てることが重要になります。
現時点では目安として、LLISSEに関しては2023年にはテストは完了し、ミッション自体は2026年以降となると言われています。
すぐに実現するわけではありませんが、着実に金星の解明のための技術開発が進んでいます。歴史上でもかなり挑戦的な調査だと思われるこの調査計画が成功することを、多くの研究者が望んでいるでしょう。
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