「一日がもっと長ければ、もっと色々な仕事や趣味に没頭できる時間が増えるのに」皆さんも、一度はそう思ったことはないでしょうか?
地球に住む私たちは、皆24時間で一日が経過します。
毎日忙しく過ごしていると、確かにもっと長い時間が欲しくなります。
しかし、そのような悩みは贅沢なものなのかもしれません。
一日が数時間どころか、数分しかないようなとても短い星があることをご存知でしょうか?
一日が短い星
今回ご紹介したいのは、一日の周期がとても短い星です。これまでに見つかっている中で、最短の1日の周期を持つ星はかに座HM星系です。
この星の1日は、なんとたったの5分21秒。あっという間に一日が過ぎ去ってしまうのです。
他にも、J0651連星の12分45秒の星などもあり、地球は比較的長い周期を持つように感じられます。
これまでにわかっている一日の周期が短い星と同じような、一日の周期が短い星が最近見つかりました。
短い一日を持つJ1539
今回見つかった星というのが、「ZTF J1539 + 5027」で略称にしてJ1539という星です。
この星の一日の周期はなんと、6分54秒です。
「なんだ、最短じゃないのか」そういう気持ちもわかります。
ただ、今回のJ1539発見が重要であることには変わりありません。
その理由としては、これまで見つかっている星と同じような短い1日の周期を持つ星が見つかったことで、天体の理解や今後の研究の示唆は大幅に深まります。
これは、研究において非常に重要なことです。
今回発見されたJ1539の特徴を理解することで、他の星への理解なども得られますので、ここからはJ1539のもう少し詳しいご紹介をします。
J1539はどんな星?
先程ご紹介したのは、短い1日の周期を持つということでした。
それに加えて、J1539の特徴は「食連星」というタイプの星であることです。
食連星がどのようなものかというと、強い重力のさざ波を生み出すという特徴を持ち、食連星同士は互いの重力のつり合いがとれる位置を中心として、互いが引っ張り合うように公転しています。
そのため、食連星同士が重なるように見え、明るさが定期的に変化します。
このような連星は、まだ数個しか見つかっていません。
この星の何が重要かというと、食連星の光の変光具合を観察することで、軌道の周期はもちろん、質量の計算も簡単にできるところにあります。
そのような簡単な計算で導かれる星は、決して多くはないため、重宝されるというわけです。
将来的には、宇宙空間で重力波を感知できるシステムを使って、数万個の連星が見つかるのではないかと考えられていますが、現時点では研究を進めるためにも1つ1つの発見が大きな1歩となるのです。
今回発見されたJ1539の計算ももちろん行われています。
J1539のサイズ・質量
計算した結果、J1539とペアになる伴星の、2つの星のサイズと質量が明らかになりました。
1つが地球とほぼ同じサイズで、もう1つはそれよりも大きいです。
質量としては、1つは太陽の80%程度、もう1つが20%程度の重さであることがわかっています。
この2つの星が、毎秒数百kmというかなりのスピードで、約7分間の周期で公転しているということになります。
彼らは互いに引きつけ合っており、現時点で、月と地球の距離の5分の1程度しかありません。
しかも、その距離というのも徐々に狭まってきているのです。今後これらの星はどうなるのでしょうか?
星の未来
引き合う力が強い2つの星は、今は2つの星ですが、今後互いの距離が近くなると、いずれは衝突し1つの星になるという未来が待っています。
今回発見された星も、例外ではないでしょう。
後数年で、J1539の軌道周期は見えないほどになります。だからこそ、今回の発見は重要であり、大きな意味があって世界中の人が注目しているのです。
一日が最短の星の発見だけでなく、2番目に1日が短い星、3番目に1日が短い星などの発見も天体学においては重要な一歩となります。今回のJ1539の発見が、今後の発展に大きな役割を果たすことでしょう。
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