私たち人類が生きる銀河系において、あらゆる恒星系を超越した“宇宙人”がいると主張する研究者が現れました。
「宇宙人はきちんと存在するものの、私たち地球人に “知らせていないだけ” である」これが研究者たちの論文で示唆されている内容で、新たな主張に注目が集まっています。
それでは、新たに発表になった研究を取り巻く背景と、研究の詳細に迫っていきましょう。
数々の研究が見落としてきた事実?!
フェルミのパラドックスに対応する見解を示すべく挑戦してきた研究者はこれまでにも多く存在しました。
宇宙人が表面というよりも液体の水の中で生まれる前提に立った研究もあれば、恒星間の移動が叶う前に生命体が存続しなくなってしまったのではないかというものまで、これまでも幅広い試みが存在したのです。
中には、銀河系内の宇宙人からなる“連合組織”が「地球人には干渉しないという約束」を結んでいるのではないかという考え方もあります。
その背景は、まさに人類が地球上で「自然保護区」を設けたり、その地の「先住民の保護」を実施したりするのと同じことでしょう。
その一方、少し前にオックスフォード大学が、銀河系内で人類が唯一の知的生命体である確率を50%弱、全宇宙で見ても類を見ない生命体である確率を3割強と見積もっています。
これに対し、今回の研究者たちは、数々の先行研究に対し、あまりに重要な要素を見落としていると指摘しています。
それは「恒星自体が動いている」という事実でした。
フェルミのパラドックスへの新たな回答
「恒星系を渡り歩こうとする宇宙人は居住可能な恒星系が距離を縮めるタイミングを見計らっているのかもしれない」今回の研究では、その可能性に言及しています。
銀河系は、地球人以外の知的文明が数多く存在すると考えられます。
直近では宇宙人が地球に上陸していないため、私たちがそれに気づけないだけなのかもしれません。
数年前に学術誌に掲載された研究において、実に“合理的”な宇宙人像が示唆されています。
つまり、各恒星系自体が動くことを活用し、より宇宙空間の移動に負担の少ない方法で宇宙を移動すべく検討しており、じっくりと銀河系の追究に時間を使っているのではないか?ということです。
この研究は、“おなじみのパラドックス“に対する、新たな回答と言えるのではないでしょうか?
50年代に物理学者フェルミが、宇宙人が存在する確固たる証拠に出会えず矛盾を感じ、首を傾げたことが現代の研究にも受け継がれていますが、この時の本題は、実は “恒星間移動は実現可能かどうか” というものでした。
しかし、言い伝えられるうちに「宇宙人の存在自体に疑問を抱かざるを得ない矛盾」へと意味合いが変わっていった背景があるのです。
宇宙人の“合理的な宇宙空間移動”とは
今回の研究者たちは、銀河系に属する星々は、銀河の中心を軸として、各々の軌道と速度で周っているため、ある恒星系が、他の恒星系の横を通り過ぎることもある、ということを重要な要素として言及しています。
まさにこれが、“宇宙人は目的物が都合よく近づいてくるタイミングを見計らっている”という見解の源になっているのです。
人類の寿命からは想像もできない周期ではありますが、私たち人類も銀河系を周回していると考えられています。
仮に、ある文明が他とは遠い場所で“発生”した場合、物理的に移動に至ることが出来る恒星系が接近して来るまで待つことで、恒星間の移動距離を短縮し、負担を軽減することもできると考えられます。
宇宙人は、新たな恒星系に到着後、待機し、別の恒星系までの移動距離が最も都合の良い距離になってから移動するというわけです。
そのシナリオでは、宇宙人は、高速移動しているのではなく、条件が成就するのを長い期間待っていることになります。
この長期間というのが10億年レベルであるならば、これは例の矛盾に対する多くの答えのうちの1つに加わる、と今回の研究者は主張しています。
「生命体が住むことが出来る条件を具備した天体は言うまでもなく稀少であるため、該当する天体が再び現実的に移動できる距離まで接近して来る前に、文明自体が絶滅してしまうのかもしれません」ということです。
銀河系には宇宙人が住む星が多数!?
今回の研究者たちは、宇宙人の存在をさらに深く堀り下げるため、ある文明が銀河系内に広がる速度をシミュレーションしました。
その際、架空の文明を出発してから目的地までの距離、恒星間の移動に使われる探査機のタイプや速さ、さらには打ち上げ頻度といった様々な要素も仮定されました。
とはいえ、「宇宙人の文明が広がっていく速度」を想定する難易度を高くしているハードルとして、私たちの手元にあるサンプルは1つだけ、という問題があります。
要するに、私たちは、私たち地球人自身の情報以外は手元にない、という点です。これらのシミュレーションは、大前提として人類の行動に準拠しているのです。
しかし、こうした不満足なシミュレーション環境ではあるものの、それでも銀河系が私たち地球人にとって“未知の生命体の住む恒星系”で溢れている可能性があることを十分に主張できるといいます。
宇宙人が用いる恒星間移動の速さや頻度についてかなりシビアに見ても、現実味があるようです。「すべての恒星系は実際に生命体が生き延びることができて、まさに居住中であるかもしれません。
彼らが地球に来ないのは、気軽に来るには遠方すぎるからかもしれません」と、指摘しています。その上で彼は、この仮説が証明に至る希望はあっても確率が高いと言うわけではないと強調しました。
また、「広い太平洋のほんの一部を探してクジラが見つからなかったからといって、太平洋全体にクジラがいないと決めてかかるようなものだ」とも主張しています。
過去に宇宙人は地球に来ていた!?
現在、宇宙人が地球を訪れている形跡は掴めておらず、また、過去についても訪問の根拠はないという点も、研究を進める上で重要な要素と言えるでしょう。
とはいえ、彼らが私たちの星に一度も来たことがないとは限りません。
彼らが人類の有史以前に仮に地球に来たことがあったと仮定しても、彼らの来訪の証拠は現代ではとっくに消えてしまっている、とも考えられます。
さらに彼らは、宇宙人には「すでに生命体が生息している惑星を訪れたくない」という気持ちがあるのではないか、とも想定しています。
宇宙人が存在すれば、同じような惑星を訪問してみたいに違いない、と考えるのは私たちの固定観念であり、「居住地拡大」はあたかも必ず征服欲から来るような考え方をしてしまう私たち地球人の傾向を当てはめ過ぎなのではないかという見解のようです。
今後の調査に必要なもの
現時点で地球外からサインが出されていないからと言って、落胆する必要はないといいます。
「それは人類が宇宙空間において完全に孤独であるということを意味するわけではありません」
そして、「生命体が生きられる条件を具備した星は稀少であり、無事到着まで至る難易度が高い、というだけです」と研究者は強調します。
生命が住むことのできる地球外惑星を探索する人類の技術は、ここから数年のうちにも段違いに向上すると予想されています。
現在、新しい望遠鏡が制作中であることに加え、すでに宇宙に送られた望遠鏡もあります。
2009年に打ち上げられた系外惑星探査用衛星や、現在も軌道上から系外惑星の観測を続けているハッブル宇宙望遠鏡やトランジット系外惑星探索衛星、NASAが現在開発中で、2021年3月に打ち上げが予定されている宇宙望遠鏡など、宇宙空間上での観測レベルは日々進歩しています。
今後さらに飛躍的な結果を得るためには、“宇宙船の恒星間移動時の可能な速度や移動範囲に関する、できる限りのデータ”と、“仮定の「宇宙人による文明」が、どの程度の期間生存しうるのか”ということへの深い考察だということです。
半世紀前の見解から数々の憶測が派生し、少しずつではありますが宇宙の謎に近づいていると言っても過言ではないでしょう。まだまだ未知の部分は多いものの、宇宙人が過去に地球に来ていた可能性、現在も多く存在する可能性、いずれも否定しきれないという点で、宇宙ロマンはまだまだ続きそうです。
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