人類は月や火星への居住を目標にし、日々研究を重ねています。
しかし、フィンランド気象研究所に所属している研究者たちは、月や火星の低重力の環境が人間の居住に適さないと考えており、人類の居住先の代替案として、準惑星ケレスになるかもしれないと語りました。
準惑星ケレスの周りに回転する居住地を建設し、スペースコロニーを建設しようというのです。
今回は、メインチャンネルでもご紹介したおさらいとして、準惑星ケレスへの居住の可能性についてご紹介いたします。
準惑星ケレスのスペースコロニー化
今回執筆された論文では、円盤の形をしたフレームの部分がスペースコロニー(メガサテライト)の基礎になることが述べられています。
この円盤状のフレームの表面にシリンダーで構築された物体を設置し、磁力によって動く軸受(じくうけ)を用いて繋ぎ合わせるのだそうです。
人類の居住地となるのはフレームの中で、この部分が回ることによって重力の役割を果たします。人口が増加した際には、シリンダーで構築された住処をつくって対処します。
また、円盤の形をしたフレームには45度の傾斜がある大きな2枚の鏡を設置するとのことです。このようにすることで、太陽の光を集め、居住地に昼と夜の概念をつくりだすのです。
月や火星は重力が弱いため、居住地に向いていない
準惑星ケレスは、火星と木星の間にある小惑星帯の中に存在しています。
比較的地球に近いと思われる火星や月のほうが、人類の次の居住地としては最適でしょう。
では、なぜ火星や月よりも少し離れた場所にある準惑星ケレスが居住地の候補として挙げられるのでしょうか?
1つめに考えられる理由として、月や火星の地表は重力があまりにも弱いためです。
月や火星のように重力が弱すぎる場所に長い時間いると、人体に悪い影響を及ぼす可能性があるのです。
特に、成長期真っ盛りの子どもの筋肉や骨が発達しにくくなるかもしれないといわれています。
月や火星は、人間や物資を運ぶために必要なコストがかかる
惑星や衛星の軌道にスペースコロニーを設置して回転させ、人工の重力をつくることで、月や火星の弱すぎる重力の問題は改善されます。
しかし、複数のスペースコロニーを設置した場合、人間や物資を運ぶためにスペースコロニー間を何度も行き来しなければなりません。
そうなると、莫大な費用や時間、労力が必要になります。
スペースコロニーをメガサテライトに繋ぎ合わせる
人間や物資を運ぶ際にロケットを用いた場合、ロケットが排出した原子が紫外線の影響を受けてイオン化され、太陽風によって太陽系の外に流れていってしまいます。
地球以外の惑星に居住するのであれば、原子が太陽系の外に流れていかないように循環させることが必要です。
原子を循環させる方法として、いくつかのスペースコロニーをつくり、それをメガサテライトに繋ぎ合わせるというものがあります。
また、スペースコロニー間の行き来にはリニアモーターカーのような乗り物を用いるのだそうです。
この方法であれば、原子が太陽系の外に流れることはなくなり、人間や物資を運ぶ際に必要な費用や時間、労力がかかることもありません。
準惑星ケレスには大気のもととなる窒素が存在する
準惑星ケレスには窒素が存在するため、メガサテライトを設定するのにぴったりです。大気中の成分が酸素のみの場合肺に悪い影響を及ぼす可能性があるため、居住には不向きなのです。
また、酸素のみが含まれる大気は火災の被害を広げてしまうおそれがあり、さらに、鳥類や虫などといった生き物が生き長らえることは困難だといわれています。
そこで必要となるのが窒素というわけです。
宇宙エレベーターとミニサイズの準惑星ケレス
準惑星ケレスの重力や大きさはミニサイズです。
ミニサイズの惑星は、地球と惑星間を繋ぐ宇宙エレベーターを設置するのに向いているのだそうです。
準惑星ケレスの地表からおよそ1024キロメートルの距離がある宇宙エレベーターを設置することで、メガサテライトまで準惑星ケレスにある資源を運ぶことが容易になるのです。
準惑星ケレスへの居住についてご紹介しました。研究者たちは、準惑星ケレスを自然災害のおそれがない安心安全な環境にすることを目指しているそうです。近い将来、人類が準惑星ケレスに居住する日も近いかもしれません。
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