私たち人類の多くは、地球にいるにもかかわらず、宇宙の姿を知ることが出来ています。その方法の1つが、探査機からの情報です。
人類が足を踏み入れてもいいのかもわからない場所や、危険が多い場所の状況を調べる時には、探査機を使います。そのため、今後の研究においても探査機は、大変大きな役割を担っています。
しかし、その時に生じる課題というのが、安全に、かつ効率的に目的場所にいってもらうことです。効率的に目的の場所につくことや軌道に乗ることは、事前の検討では難しい作業だとされています。
そのような状況で、とある研究がその作業をより効率的に、正確にする方法を見つけたというのです。その効率的な道筋を、宇宙ハイウェイと言います。今回は、その宇宙ハイウェイをご紹介致します。
多体問題
まずは、今回ご紹介するハイウェイに深く関係している、多体問題についてご説明します。物体が互いに力を及ぼし合う性質を持つ場合、2つの物体間での力の及ぼし合いを検討することは、比較的簡単です。
しかし、それが2つの物質ではなく、3つ、4つと複数になることによって、互いの力がどう及ぼし合うのかを検討することは、とても複雑になります。これを、三体問題、もしくは多体問題と言います。
このように、太陽と地球のような、2つの惑星間の限定した惑星の軌道は計算しやすいにも関わらず、3体以上になった途端に複雑な問題で簡単には導けなくなるのです。
しかし、それでは実際の宇宙空間を想定しての探査機打ち上げに関する予想も、中々難しいままです。そのため、複雑な多体問題をシミュレーションして、大きな発見をしたというのが、今回ご紹介したい研究なのです。
シミュレーション結果
多体問題のシミュレーションによって得られた大きな発見というのが、「宇宙ハイウェイ」なのです。
今回シミュレーションで検討したのは、金星から海王星までの7つの惑星の影響で、距離にして3AUの小惑星帯から20AUの天王星軌道までの安定した軌道を計算しました。
簡単に説明すると、木星には強い重力があり、付近にあるものを取り込んでしまって何十年もそこから抜け出せなくなります。
一方で、木星の重力を逆手にとって弾き飛ばされる形で、太陽系の外まで飛んでいける方法もあるのです。
そのように、木星の重力を使って、可能な限りはやく太陽系を脱出するルート「宇宙ハイウェイ」を、今回の研究で見つけたという訳です。
期待高まる「宇宙ハイウェイ」
今回の研究結果のように、かなりの短時間で移動できるルートの発見によって、目的の軌道に、より早く到着することができることがわかりました。
そのため、今後の打ち上げ計画を立てる段階において、とても大きな役割を果たすことになります。宇宙ハイウェイの発見が与える影響は、それだけではありません。
他の影響の中でも特に大きいものというのが、地球にとって大きなダメージを与えうる、彗星の発見においても大きな活躍をすることになるでしょう。
これまでは悪影響を及ぼすかもしれない強力な重力問題を、有効活用して反対に、より効率的に遠くに移動させることができるようになったということが、何より驚く部分かもしれません。
新しいものの開発でなく、これまでマイナスだと思われていたものを活用次第でプラスにする研究だということが多くの人の関心を集めているのかもしれません。
今回ご紹介した宇宙ハイウェイですが、今後の宇宙研究において、かなり重要な研究結果といえます。より安全で確実な研究が実施できるよう、実際に応用できる日を願っています。
参考 : phys, など
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