物理学とは、自然界に見られる現象について、物質と物質との間に働く相互作用によって理解する力学的理解と、物質をより基本的かつ極小な要素として理解する原子論的理解を目的とする学問です。
これまでも物体が落下する様子、惑星や恒星などの天体活動、物質を構成する原子の挙動など、様々な物理世界の現象が研究されてきました。
そして、これらの現象を研究する物理学者の中には、私たちの地球や宇宙、そこに存在するあらゆる物の見方に変革をもたらす発見をする物理学者がいるのです。
今回は、私たちの認識を大きく変えた 20人の物理学者を ご紹介します。
- ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)
- アイザック・ニュートン(1643~1727)
- マイケル・ファラデー(1791~1867)
- ジェームズ・クラーク・マクスウェル(1831~1879)
- ヴィルヘルム・レントゲン(1845~1923)
- ジョゼフ・ジョン・トムソン(1856~1940)
- マックス・プランク(1858~1947)
- マリー・キュリー(1867~1934)
- アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)
- アーネスト・ラザフォード(1871~1937)
- ニールス・ボーア(1885~1962)
- エルヴィン・シュレーディンガー(1887~1961)
- ヴォルフガング・パウリ(1900~1958)
- エンリコ・フェルミ(1901~1954)
- ヴェルナー・ハイゼンベルク(1901~1976)
- ポール・ディラック(1902~1984)
- ロバート・オッペンハイマー(1904~1967)
- リチャード・ファインマン(1918~1988)
- ヴェラ・ルービン(1928~2016)
- マレー・ゲルマン(1929~2019)
ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)
イタリアの物理学者、天文学者のガリレオ・ガリレイは「近代科学の父」、あるいは「天文学の父」と呼ばれています。
物理学の業績では、物体が自由落下する時間は、落下する物体の質量に依存しないことと、物体の落下時の距離は、落下時間の2乗に比例するという「落体の法則」の発見が有名です。
アイザック・ニュートン(1643~1727)
英国の物理学者・天文学者・数学者のアイザック・ニュートンは「慣性の法則」「運動方程式」「作用反作用の法則」からなる 運動の三法則と「万有引力の法則」を発表しました。
ニュートンの著書「プリンキピア」には、月が地球から受けている力が、地上の物体が地球から受けている力と同じ重力であると書いてあります。
17世紀に、月が地上の物体と同じ物理法則に支配されているという発想は革命的だったと言えます。
マイケル・ファラデー(1791~1867)
イギリスの化学者・物理学者のマイケル・ファラデーは、1831年に「ファラデーの電磁誘導の法則」を発表し、1839年には電気と磁気の根本的な関係について提唱するなど、電磁気学および電気化学の分野で大きく貢献しました。
ジェームズ・クラーク・マクスウェル(1831~1879)
イギリスの理論物理学者のマクスウェルは、1864年に電磁場理論に基づいた「マクスウェルの方程式」を導き、古典電磁気学の理論を確立しました。
これは、電気・磁気・光が電磁気と一体の現象であることを証明しました。
ヴィルヘルム・レントゲン(1845~1923)
ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲンは、1895年に波長が1ピコメートルから10ナノメートル程度の電磁波の放射を発生・検出し、「X線」と命名しました。
ジョゼフ・ジョン・トムソン(1856~1940)
イギリスの物理学者ジョゼフ・ジョン・トムソンは1897年、物質の最小構成要素と考えられていた原子に電子という素粒子が含まれていることを世界で初めて発見しました。
マックス・プランク(1858~1947)
ドイツの物理学者マックス・プランクは、量子論の創始者の一人で「量子力学の父」と呼ばれています。
1900年、黒体が放射する電磁波の分光放射輝度に関する「プランクの公式」を導出し、その過程で輻射場の振動子のエネルギーが、あるエネルギー量子の整数倍であると仮定する「エネルギーの量子仮説」いう概念や量子力学の基礎定数となる「プランク定数」という数値を定義しました。
マリー・キュリー(1867~1934)
ポーランド出身の物理学者・化学者のマリー・キュリーは、フランスの物理学者アンリ・ベクレルが1896年に報告した、ウラン化合物が放射するX線のような光線を研究し、これらの放射に放射能、このような現象を起こす元素を放射性元素と名付けました。
さらに、夫のピエール・キュリーの助力を得て、放射性元素のポロニウムとラジウムを発見しました。
アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)
ドイツ生まれの理論物理学者アルベルト・アインシュタインは、1905年に「特殊相対性理論」を、1916年には「一般相対性理論」を発表しました。
「特殊相対性理論」は、全ての慣性系において物理法則は等価であるという特殊相対性原理と、光の速さは一定であるという光速度不変の原理に基づいた理論で、「一般相対性理論」は エネルギーや質量のある物体が存在すれば、その周りの時空間は歪むという理論です。
アーネスト・ラザフォード(1871~1937)
ニュージーランド出身の物理学者アーネスト・ラザフォードは、1911年に原子核を発見し、原子核に原子の質量の大部分が集中している「ラザフォードの原子模型」を発表しました。
この他、α線とβ線の発見や原子核の人工変換などの業績により「原子物理学の父」と呼ばれています。
ニールス・ボーア(1885~1962)
デンマークの理論物理学者ニールス・ボーアは、1913年に原子の中心に核があり、その周囲を電子が周っているという水素原子の原子模型を提示しました。
さらに、ウラン235が他のウランの同位体に比べて核分裂を生じやすいことを指摘、原子爆弾開発への重要な理論根拠にされました。
エルヴィン・シュレーディンガー(1887~1961)
オーストリア出身の理論物理学者エルヴィン・シュレーディンガーは、1926年に量子力学の中核とされる「波動力学」を発案、次いで量子力学の基本方程式である「シュレーディンガー方程式」や、1935年に「シュレーディンガーの猫」を提唱するなど、量子力学の発展に貢献しました。
ヴォルフガング・パウリ(1900~1958)
オーストリア生まれの物理学者ヴォルフガング・パウリは、スピンの理論や量子力学の分野で多くの重要な業績を残したことで有名です。
1925年には、現代化学の基礎となっている「パウリの排他原理」を発見し、1931年には後に「ニュートリノ」と命名される質量の極小な中性粒子の存在を明言しました。
エンリコ・フェルミ(1901~1954)
イタリア出身の物理学者エンリコ・フェルミは、量子力学および原子核物理学の分野で顕著な業績を残しました。
また、マンハッタン計画で世界初の原子炉の運転に成功し、「核時代の建設者」「原子爆弾の建設者」とも呼ばれています。
ヴェルナー・ハイゼンベルク(1901~1976)
ドイツの理論物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルクは、1927年に不確定性原理を導出したことで有名です。
これは原子や電子などの世界では、一つの粒子について、位置と運動量、時間とエネルギーのように互いに関係ある物理量を同時に正確に決めることは不可能であるという量子力学の基礎的原理です。
ポール・ディラック(1902~1984)
イギリス生まれの理論物理学者ポール・ディラックは、1928年に考案したディラック方程式で「ディラックの海」という解釈を提案、反粒子の存在を予言しました。
ロバート・オッペンハイマー(1904~1967)
アメリカの理論物理学者ロバート・オッペンハイマーは、マンハッタン計画で史上初の原子爆弾開発を指揮し、「原爆の父」として知られています。
リチャード・ファインマン(1918~1988)
アメリカ出身の物理学者リチャード・ファインマンは、経路積分という新しい量子化の手法を考案するなど、量子電磁力学の発展に大きく寄与したことで有名です。
ヴェラ・ルービン(1928~2016)
アメリカ出身のヴェラ・ルービンは天文学者ですが、銀河の回転速度に関する観測と研究から、宇宙には光を発する天体の総質量を遥かに上回る質量の「暗黒物質」という粒子が存在する 初の証拠を提示しました。
マレー・ゲルマン(1929~2019)
アメリカ生まれの物理学者マレー・ゲルマンは、1964年に陽子、中性子、その他のハドロンは「クォーク」という究極素粒子で構成されているとする「クォーク模型」を提唱しました。
物理学の研究対象は、地球上に存在する生命体の構成要素はもちろん、銀河の中心にある膨大な質量を持つブラックホールまで、地球・宇宙空間を問わず様々な場所にあります。物理学者の研究によって、これからも私たちの常識を覆すような革命的な発見が報告されることを期待しましょう。
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