タイムトラベルは、これまでも多くのSF作品の題材として取り上げられてきました。
時空を超える方法は理論的には存在しますが、現在の技術では成し遂げられない部分も多く、そういった点ではタイムトラベルが現実的とはいえないのも確かです。
それでも時空を超えるという夢を諦めない人もいます。今回は、タイムトラベルに関して研究者が唱える理論を ご紹介します。
タイムマシン
人々の心を惹き付けるタイムマシンは、どのようにして人を過去や未来に移動させるのでしょう。専門家は、タイムマシンがしっかり稼働するには、負のエネルギー密度を持つ物質が必要だと述べます。
そうした物質は、押された時押された方向と反対の方向に動くという、奇妙な性質を持つのです。一方そのような物質が存在したとしても、タイムマシンを動かす十分な要素にはならないでしょう。
タイムマシンの動作については色々な説が存在しますが、いずれの説の実現も困難だからです。
ブラックホール
ブラックホールからは強力な重力が生じており、それゆえ内部では、時の流れまで遅くなるとされています。
また、ブラックホールを利用して過去や未来へ行くには「事象の地平面を越えないまま、ブラックホールを周回する必要がある」と推測されているのです。
ブラックホールに強力な重力がある事から、そこを周回する宇宙船は地球にいる時とは全く違う時間の流れを経験します。
そのためブラックホールを周回した宇宙船が地球に戻ると、そこではずっと早く時間が経過しているのです。
ワームホール
ブラックホールとホワイトホールを繋ぐとされているワームホールの存在は、未だ証明されていません。発見こそされていないものの、ワームホールが存在する可能性については考えられてきました。
このワームホールは、時空の近道だといわれています。つまりここに入れば、宇宙空間の別の場所に出たり、今と異なる時間の世界を旅したりする事ができるかもしれないのです。
タイムトラベルの可能性を高めてくれるワームホールですが、人が入るにはあまりにも小さ過ぎるかもしれないです。
一般相対性理論
アインシュタインの唱えた一般相対性理論では、空間にある物体が時空の連続体を歪める方法、つまり一般的な言葉でいう重力について論じられています。
一般相対性理論は、直接的にはタイムトラベルとの関わりはありません。しかしこの理論があった事で、物理学者がタイムトラベルを理論化する事ができたのです。
タイムトラベルが、先程述べたブラックホールやワームホールと結び付いたのも、この理論のお陰なのです。
ブラックホールとワームホールは、一般相対性理論から提唱された概念であり、どちらもタイムトラベルを理論化する過程と関連しています。
宇宙ひも
宇宙ひもは、宇宙に張り巡らされたエネルギーの細い管です。初期宇宙の残骸であり、膨大な質量を含むと考えられています。またこの宇宙ひもはループ状か、無限に伸びる真っ直ぐな線のどちらかだと考えられています。
宇宙ひもが直線であるならば、これを利用して時空旅行ができるかもしれないのです。2本の宇宙ひもが平行線状に伸びており、かつそれらの距離が近かったのであれば、時空が歪む可能性があります。
時空の歪みの部分のカーブは非常に巨大あるがゆえに、時空旅行が可能になるといわれているのです。
ティプラーシリンダー
ティプラーシリンダーはタイムマシンの一種で、密度の高い筒状の物質を高速で回転させる事で、時空旅行ができるというものです。
これを使って時空を移動するには、極めて高い質量の物質がなくてはならず、その質量は太陽の10倍でなくてはなりません。
太陽の10倍の質量を持つものなら宇宙のどこかにはあるはずですが、それを長い筒状にしなくてはならず、その作業は困難です。更にその筒を、毎分数十億回という速度で回転させなくてはなりません。
これらの過程を実行できれば、閉じた「時間的カーブ」に進入でき、そこを通り過ぎればタイムトラベルができるはずです。
光速移動
1978年の映画『スーパーマン』の中で、光よりも速く移動する光速移動によってタイムトラベルをするシーンがあります。
こうしたフィクション作品のワンシーンについて、科学的な説明を試みる人たちもいました。仮に光速で移動できる宇宙船を作り出す事に成功し、それに乗って地球から遠ざかれば、乗員は地球にいる人たちよりも早く、未来へと移動する事になります。
しかし、光の速さで移動するための技術を生み出すには、まだ長い時間がかかります。加えて、他にも色々な条件を満たさなければならないのが現実です。
4次元立方体
映画『インターステラー』では、今我々のいる次元よりも高いレベルの次元、つまり4次元空間においてタイムトラベルが可能となるという説が登場します。
具体的には「テッセラクト」という、2次元と3次元の形状で投影された「4次元立方体」によってタイムトラベルが可能になるという事です。
そのテッセラクトの中では、時間は空間の1次元としてみなされます。そしてテッセラクトが異なるレベルの時間を生み出すため、その時間の中に進入すればタイムトラベルができると推測されるのです。
このテッセラクトの設定は完全なるフィクションによるものですが、将来的にはノンフィクションの存在となるかもしれません。
親殺しのパラドックス
親殺しのパラドックスはタイムトラベルに関する矛盾の話であり、祖父のパラドックスとも呼ばれます。もし現在にいる誰かが過去に行ったとすると、それは未来に大きな影響を与えかねません。
そこで、親殺しのパラドックスを例に説明しましょう。あなたが仮に優秀な科学者だったとし、タイムマシンを生み出して過去へ向かったとします。
そして子ども時代の祖父に出会い、紆余曲折あって彼を殺害してしまったとします。するとあなたは誕生せず、タイムマシンも発明されなかったという事になるのです。
この例からわかるように、タイムトラベルが未来にもたらす影響は多大なものです。
タイムトラベルは既に実現している?
人類の憧れであるタイムマシンが既に存在しており、過去や未来に行った人物がいるという説があります。タイムトラベラーの1人として、喜劇王チャップリンが挙げられるのです。
彼が脚本、監督などを担当した『サーカス』という古典映画には、携帯電話で通話をしているかのような仕草をする人物が登場するのです。
また有名アニメ『ザ・シンプソンズ』の作者マット・グレイニングも、タイムトラベラーだと噂されています。同アニメのエピソードで、ドナルド・トランプ大統領の就任など、未来に起こる出来事が描かれているからです。
これらの作品の例から、既にタイムトラベルは実現していると考える人もいます。
タイムトラベルがもし実現していたのなら、私たちはメディアを通してタイムマシンを目にしているはずです。しかし、タイムマシンやタイムトラベラーを目の当たりにしていないからといって、未来でタイムトラベルが実現しなかったと解釈するのは安直です。もしかすると、タイムトラベラーたちには「タイムトラベルに関する事を未来や過去で他言してはならない」というルールがあるだけかもしれません。
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