1959年、ロシアの旧ソ連領で発生した「ディアトロフ峠事件」を知っていますか?
ディアトロフ峠事件とはウラル山脈北部に位置するホラート・シャフィル山という雪山で発生した事件で、内容は男女9名の遺体が見つかったというものです。
注目すべきは、この男女9名の遺体の損傷が酷く、肋骨や頭蓋骨が傷つけられ、舌や眼球がなくなっている遺体もあったというところです。
一体なぜこのような状態になったのか、ディアトロフ峠事件の真相について迫ります。
ディアトロフ峠事件とは?
1959年の1月下旬、ウラル科学技術学校に在籍していた生徒とその卒業生は、ウラル山脈にあるオトルテン山を訪れようとしていました。
これが凄惨なディアトロフ峠事件の始まりでした。
男女らが帰ってこないことを心配した家族は、救助隊に捜索を求めます。
すると、ホラート・シャフィル山で男女らが使用していたと思われるテントが見つかり、その付近からは男女9名の遺体も見つかりました。
9名のうち2人が肋骨が酷く傷ついており、また1人は頭蓋骨の骨が折れていたことが分かりました。
中には舌や眼球がない遺体もあり、見るに堪えないものであったといいます。
仮説その1 核爆発によるもの?
男女9名が亡くなった原因として、様々な仮説が立てられています。
1つめは、核爆発によって亡くなったのではないかというものです。ディアトロフ峠の近くには核実験場がありました。
しかし、男女の遺体や遺品から放射線は見つかったものの、被爆しているとは到底考えられなかったために、この仮説はあまり信ぴょう性がないものとされました。
仮説その2 UFOによるもの?
2つめの仮説は、UFOなどの未確認物体や未確認生物などの仕業ではないかというものです。
亡くなった男女が登山をしていた事件当日、雪山の近くでUFOのような未確認物体の目撃情報がありました。
しかし この説はあまりに非現実的であるとされ、認められることはありませんでした。
仮説その3 風が吹き飛ばした?
3つめの仮説は、強風が男女9名らを吹き飛ばしたのではないかというものです。
ディアトロフ峠事件が発生した雪山では、秒速50メートル〜70メートルにも及ぶ荒れた強風が吹くことが少なくないといわれていたためです。
しかし、気候学者は男女が亡くなった原因は強風ではないとしたために、あまり信ぴょう性はないとされました。
仮説その4 ミサイルの発射が原因?
4つめの仮説は、ミサイルの発射によるものではないかというものです。
カプスチン・ヤール演習場という発射場からミサイルが放たれ、それによって亡くなったのではないかと考えられました。
しかし、カプスチン・ヤール演習場とディアトロフ峠はそれほど近くにはなかったため、信ぴょう性はないものであるとされました。
事件発生の原因とは
ロシア連邦最高検察庁と、事件を解決に導いたとされるウラル連邦管轄区検察局次長のアンドレイ・クリヤコフ氏によると、ディアトロフ峠事件が発生した原因は雪崩であると考えられています。
男女は雪山の過酷な環境が引き起こした低体温症によって死亡し、雪崩に巻き込まれたために遺体が酷く傷ついていたことが判明しました。
押し潰されて亡くなった男女たち
アレクサンドル・ゾロタリョフをリーダーとしていたグループは、雪を掘り起こし雪崩から身を守ろうとしていましたが、結局は雪崩に巻き込まれてしまったといわれています。
アンドレイ・クリヤコフ氏は、彼らは決してパニックに陥るようなことはなく冷静さを保っていたが、それでも助かる見込みはなかったと語っています。
遺された遺族の想いとは
クリヤコフ氏は、これ以上調査が行われることはないだろうと述べています。
つまり、ディアトロフ峠事件は解決したと見なされたということです。
しかし、遺された遺族のトップに立っている弁護団体は、ディアトロフ峠で亡くなった男女9名らの死因を産業事故によるものだと考え、ロシア検察による再調査を求めています。
ロシアのウラル山脈で発生したディアトロフ峠事件の真相についてご紹介しました。ロシア検察は男女9名が亡くなった原因を雪崩であるとして事件を解決へと導きましたが、本当はもっと恐ろしいものによるものが男女を襲ったのかもしれません。皆さんも、雪山などの危険なところへ訪れるときには充分注意を払うようにしてくださいね。
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