世界には、いまだに解き明かされていない謎が多くあります。人類は、謎を解明するため 科学技術を発達させてきました。
21世紀になり20年が過ぎた今、その発達した科学技術をもってしても、多くの謎が解明されておらず、世界には沢山の謎が残されています。
今回も、これら解明されていない謎の一部をご紹介します。
メノルカ島の「巨人のテーブル」(スペイン)
古代文明を象徴するものとして、巨大な石が使われた遺跡は有名ですが、スペイン・メノルカ島の巨石遺跡はあまり知られていません。
メノルカ島にあるT字型の巨石遺跡「タウラ」について、宗教儀式に用いられたという説や、月の周期カレンダーとして使用されていた天文考古学遺跡であると主張する考古学者がいるのですが、約3000年前の遺跡であり、宗教や信仰の詳細や資料などが分からないことから、この巨大遺跡の真実は謎のままとなっています。
カット・シェビブ(ヨルダン)
近年、中東では幾何学模様が描かれた石製構造物が注目を集めています。
これは、遊牧民のベドウィンたちが「旧人の作品」と呼んでいたもので、ヨルダンの南部では「カット・シェビブ」という古代の長壁の調査が行われました。
この「カット・シェビブ」という壁は様々な構造タイプがあり、非常に長く作られていることから、建設には膨大な労力が必要だったことは確かです。
ただ、防壁としては小規模で脆弱な構造だったので、農耕地と牧羊地の境界壁として建設されたと考えられていますが、実際の目的は分かっていません。
ガリラヤ湖の湖底の積み石(イスラエル)
イスラエル・ガリラヤ湖の湖底に、直径70メートル、高さ10メートル、総重量6万トンにもなる玄武岩が積み上げられた、巨大な円錐形の建造物が発見されました。
2003年に音波探査機を使った湖底調査で偶然発見されたのですが、建造された年代の特定は難航、2000から1万2000年前に建造されたと考えられています。
また、建造の目的や方法についても、最初から水中に建設された一種の養魚場だったという説や、元は地上に作られた儀式用の建造物か共同墳墓が湖底に沈んだものという説まで、諸説あります。
水中の遺跡は地上の遺跡に比べて劣化の進行が遅く、保存状態が良好だと考えられていて、詳しい調査が待たれるところです。
ハル・サフリエニの地下墓地(マルタ島)
別名「ハイポジューム地下神殿」とも呼ばれる、マルタ島のハル・サフリエニ地下墳墓は、マルタ島の首都ヴァレッタから車で15分程行った住宅街にあります。
約6000年前、まだ古代文明も生まれていない先史文明の遺跡と考えられる地下構造物で、何千年もの時間をかけて掘り進められ元は宗教上の聖域として使われていましたが、やがて共同地下納骨堂として使用されたようで、発掘調査によって7000体以上の遺骨が発見されました。
中でも、第2階層にある「神託の部屋」は、男性の低く太い声だけを反響させる特色があり、その反響音が人体に幻覚などの影響を及ぼしたと考える研究者もいるようです。
モチェ文化の遺跡(ペルー)
モチェ文化は、インカ帝国以前に繁栄していた高度な文化の一つで、およそ2000年前から8世紀初頭まで続いたと言われ、滅亡した原因としては、最大級のエルニーニョ現象による川の氾濫や干ばつ、大地震、多文化による侵略、内部の反乱など、諸説あります。
モチェ文化には陶器や金細工の熟練した技があった反面、文字が無かったため、その歴史については謎に包まれているのですが、2018年にモチェ文化の儀式などに使用されていたと推測される二つの部屋が発見されました。
一つの部屋は、二つの王座が互いに向き合い、君主が賓客と会食をした場所だと思われます。
ただ、遺物の中から人骨が見つかったことや、モチェ文化には人間の生贄を捧げる風習があったことから、この儀式用の部屋が生贄を捧げる場所だったのかもしれません。
デンマークのフェンスの遺構
デンマーク・コペンハーゲンから約64キロ離れたスティーブンスで、5500平方メートルにおよぶ、杭で作られたフェンスの遺構が発見されました。
現場で発見された遺物の分析から、この遺構は約5000年前に作られた新石器時代人ファンネルビーカー文化の遺構ではないかと考えられています。
また、発見された楕円形のフェンスの一部の配置や、打たれた杭の間隔などから、防御のためのフェンスではなく、迷宮のようなものではないかと考えられています。
ただ、新石器時代の人がこのようなフェンスを作った目的は謎に包まれています。
ミタンニ王国のケムネ宮殿(イラク)
ミタンニ王国は、古代メソポタミア文明の中で最も研究が進んでいない帝国の1つだと言われています。
ミタンニ王国は、フルリ人によって建国された多民族社会で戦士階級に支配される封建的(ほうけんてき)国家であり、紀元前1500年から1300年の間だけ存在していたそうですが、現在ではその痕跡がほとんど残っていません。
そうした中、イラク最大のモスルダムが記録的な干ばつの影響で水位が下がったことで、ダムの底からミタンニ王国の遺跡と思われるケムネ宮殿が発見されました。
2010年に初めて発見され、その後再び水没し、改めて2018年の干ばつの際、初めて研究者たちが宮殿内に入り、調査が可能となりました。
ハードノット・ローマン・フォート(イギリス)
イギリス・カンブリア州のハードノット峠の西側にあるハードノット・ローマン・フォートは、ハドリアヌス帝の頃に建設されたローマ帝国防壁跡に点在する砦の一つです。
この砦は石を積んだ壁で囲まれた四角い形で、壁の厚さは1.8メートル、各辺の長さが114メートル、各 壁には門がある構造です。
そして近年、この4つの門が太陽の動きに合わせて作られていることが分かりました。
特に夏至と冬至の時の日出、日没に合致しているというのですが、他の砦では確認されていない特徴でもあり、その目的は謎のままだということです。
「消失」した滝(エクアドル)
2020年2月、南米エクアドルのカヤンベ・コカ国立公園にある、落差150メートルの最大の滝として有名な「サン・ラファエル滝」が「消失」するという驚くべき現象が起きました。
サン・ラファエル滝は、緑の植生と多種多様な生物種に恵まれた風光明媚な滝として人気の観光地でしたが、現在では、3つの細い水流が流れる程度になってしまい、観光も打ち切られているそうです。
原因は、上流部で発生した地滑りで川底が陥没したためだというのですが、その地滑りが発生した原因については、自然現象や水力発電所のダム建設の影響などが指摘されています。
ギョベクリ・テペ遺跡(トルコ)
ギョベクリ・テペ遺跡は、トルコ・シャンルウルファの北東12キロメートルの所にあります。
直径20メートルから30メートルの円形に石を積み上げた建造物で、高さ5メートル、推定重量10トンもあるT字型の石柱の中には 様々な動物の彫刻が施されているものもあります。
ギョベクリ・テペ遺跡のもっとも古い層は、紀元前1万年以上前に建造され、大ピラミッドやストーンヘンジ、その他の巨石建造物よりも古い遺跡である可能性や、文明の起源の定説を覆す事実があると言います。
これまで宗教は人間が定住し、農耕生活を始めた時に生まれたと考えられていましたが、ギョベクリ・テペ遺跡は、定住しない狩猟採集民族が宗教的儀式を行うために建造した世界最古の神殿であると言うのです。
ただ、石柱を磨いたり彫刻を施したりする道具が発見されておらず、放浪民族が10トンもある巨石を動かして、これほど大規模な構造物を建設するのに必要な労働力を、どのように確保していたのかなど、多くの謎が残されています。
今回、世界に存在する10個の謎を紹介しました。古代文明の研究は、バラバラに見つかる新たな発見をつなぎ合わせて、その実像を明らかにするものですが、どうしても埋められない謎が必ず出てきます。古代文明の謎が、一つ一つ解明されていくのを楽しみにしましょう。世界にはまだまだロマンが満ち溢れています。
コメント