地上で生活してきた我々人間は、海の底に何が潜んでいるのかをあまり知りません。
人間にとって謎の多い海底には、何があるのでしょう?
近年、様々な形で海中の調査が行われており、徐々に謎が解明されつつあります。
今回は、世界中の海に隠されたものに迫っていきましょう。
アゾレス諸島のピラミッド
太平洋の中央部にあるアゾレス諸島の周辺で、2013年に海底のマッピング調査が行われました。
そしてテルセイラ島とサンミゲル島の間の海域で、ピラミッド状の物体が見つかったのです。
物体の高さは60m、基盤の面積は8000平方mもありました。
アゾレス諸島付近には、2万年前から人間が住んでいた事が、2015年の時点で判明しています。
加えて当時は、ピラミッド状の物体が発見された場所が陸であった可能性もあるのです。
この物体は、当時暮らしていた人間が建てたのでしょうか?
オーブのような生き物
2016年、アメリカのカリフォルニア州、チャンネル諸島付近の海で、新種とみられる生物が発見されました。
紫色のオーブのような生き物です。
その生物は水深1.6kmという深海に潜んでおり、その幅は5cm程度です。
同じような環境に生息する、既に見つかっている他の軟体動物とは異なり、その体は鮮やかな色をしています。
謎の大穴
カリフォルニア州のビッグサー沿岸で2019年、人工物にも見える不思議なものが発見されました。
海底に形成されていた、約1万5000個もの穴です。
穴の多くは直径数m、深さは1m前後です。中にはゴミが溜まっており、そのゴミ溜めが海中生物の巣となっていました。こうした謎の穴は、1999年にも見つかっています。
それは2019年に見つかったものより遥かに小さかったのですが、数は多く、800平方kmの範囲で約5000個も見つかりました。
このような穴が、なぜ大量に形成されるのでしょう?
最も有力な説によると、地中の中に溜まったメタンガスが漏れる事が原因との事です。
もしそうならば、安全上の理由から、その近辺に風力発電施設などの施設を作る事はできません。
海底の秘密基地
1960年代のアメリカ海軍は、ソ連の潜水艦を発見するための、情報収集所の設置を進めていました。
その傍ら、海底軍事基地を建設するという計画を立てました。
そして1964年から1966年にかけ、海底の基地シーラブIとシーラブIIが完成しました。
しかし1969年、シーラブIIIで潜水士が死亡するという事故が起こり、海底基地の建設計画は中止されたのです。
ところがその後の1971年、先程の海底基地計画と関係するとみられる、海底土壌調査が行われました。
調査が行われたのはカリフォルニア沖です。なお、シーラブの設置された詳しい位置は明かされていません。
海に淡水がある?
アメリカ海洋大気庁によると、海水の塩分濃度は平均3.5%程であり、そのほとんどは陸上からの流入と、二酸化炭素の吸収によるものだという事です。
しかし、塩分濃度は場所によって大きな差があります。
例えば、アメリカのマサチューセッツ州からニュージャージー州にかけての、沿岸から350km沖の海底には、塩分濃度が通常の4倍もあるゾーンがあります。
メキシコ湾は塩分が拡散されにくいため、その濃度も濃くなるのです。
一方、海の水とは思えない程塩分濃度が低い所もあります。
そうした海域の多くは沿岸部であり、塩分濃度はわずか0.1%に留まります。
これは淡水とほぼ同じ数値です。
実は、氷河期に淡水が地下に流れ込んだ事がわかっており、海の中に淡水が集まるエリアが形成されたのは、地下の淡水が何らかの理由で海底から漏れたためだと指摘する人がいます。
すべての海底が謎に満ちている
Googleマップと衛星画像を活用すれば、一般人でも地上の様子を隅々まで調べる事ができます。
しかし、海の底は未知の世界です。
アメリカ海洋大気庁によれば、これまで人類の調査が及んだ海底は、全体の2割に過ぎません。
またその半分については、調査をしたとはいえソナーで探りを入れただけなのです。
そんな中、2019年6月、NASAは海洋調査プロジェクト「エクスプローリング・オーシャン・ワールズ」への出資を発表しました。これは、NASAの最先端テクノロジーが海底調査に投入される事を意味します。
インド洋のUFO生物
2019年4月、インド洋の水深6.4kmの地点にあるジャワ海溝で、UFOのような形の生き物が漂っているのが目撃されました。
クラゲにも見えるその生物は、尾索(びさく)動物という部類に入るかもしれません。尾索動物とはホヤなどが属するグループで、海底でじっとしている傾向にあります。
このUFO状の生物を含む尾索動物に生えている、長いケーブルのようなものに関しては、地震が発生した時に体を固定する、錨のようなものだという説があるのです。
そうした機能が備わっていながら、この個体はうっかり流されてしまったのでしょう。
身元不明の難破船
世界中の海底には、約300万隻もの難破船が眠っているとされており、実際調査されたのは、そのうち1%に過ぎないようです。
2019年5月にメキシコ湾で発見された200年前の難破船も、その中の1つです。難破船の全長は約38mで、船体は木材と銅板で作られています。船の周りでは、鉄製の器具も発見されました。
また舵には2019という番号が振られていますが、これまでの調査で、こうした数字に該当する船は見つかっていません。
海底観測機器の消失
2019年8月、デンマークとドイツの国境付近の海底に設置されていた観測機器が、消失しました。
それは海水の温度や塩分濃度などを観察、記録するための機器で現場に残されたケーブルには荒々しく切断された痕跡があったのです。
機器を押し流せるような強力な海流は当時周辺では確認されておらず、窃盗事件の可能性も考えられました。
しかし機器は小さな車程の大きさであり、また海岸から1km以上離れた立入禁止海域の水深22mの海底に設置されていたため、簡単に盗めるものではありません。
盗まれた潜水艦
1941年、オランダ海軍の潜水艦「HNLMS O 6」と「HNLMS K XVII(セブンティーン)」が、マレーシア沖で旧日本軍の機械水雷に接触し、沈没しました。
それ以来、船体は海底で眠っていましたが、2019年にその場所から消えている事がわかりました。
実はマレーシアからインドネシアにかけての海域では、第2次世界大戦中に沈没した同盟軍の船が、40隻ほど盗まれています。イギリスのガーディアン紙によると、船体には1億円程の値段が付く事があるそうです。
仮に沈没船が何者かに盗まれたのだとすれば、大きく重い船を一体どのようにして運んだのでしょう?
海には人工物にまつわるミステリーもありますが、謎の生物も私達の好奇心を刺激してきます。2014年だけでも、水中では1500種もの新種の生物が確認されています。この事から、1つの環境においても多様な生物が存在し得るという事がわかります。単一の環境に多種多様な生物がいるのですから、世界中の海を調査していけば、未確認の種がどんどん発見されていく事でしょう。
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