もしも、地球に前代未聞のウイルスが襲ってきたら、あなたはどうしますか?
米・スタンフォード大学の専門家は、火星から地球へとウイルスが運ばれてくる可能性と、そのような状態へ陥った場合の対策について考察・研究しました。
今回は、前代未聞のウイルスが引き起こす現象についてご紹介したいと思います。
マーズ2020計画とウイルス対策
アメリカ航空宇宙局(NASA)は「マーズ2020」という火星に探査機ローバーを潜入させる計画を企てています。
ローバーに火星の岩石を地球に持ち帰らせ、それを研究のための試料として使用するのです。
このとき、岩石に前代未聞のウイルスがこびりついているおそれがあるため、岩石を保存するための入れ物を熱し、化学薬品で洗浄してウイルスを取り除くことが必要不可欠だといわれています。
また、入れ物だけではなく宇宙船や宇宙飛行士にも対策を施さなければなりません。
宇宙船は入れ物と同じ方法でもウイルスを除去することができますが、人体の場合、化学薬品などを用いた除去では身体に悪い影響を及ぼしかねません。
化学薬品による除去の代替案として、身体に異常がないか、ウイルスの影響を受けていないかなどをチェックする検査を実施するべきだとされています。
このような検査はアポロが人類史上初の月面着陸を成し遂げた際にも行われました。
惑星や天体の自然破壊
1950年ごろ、地球の環境を保護するのと同じように、惑星や天体の環境も保護するべきだという見識がなされるようになりました。
人類は惑星や天体の謎を解き明かそうと探査機を潜り込ませるなどして調査していますが、人類に火星のウイルスの影響が及ぶ可能性があるように、惑星や天体も地球のウイルスが持ち込まれ影響を受ける可能性があるといわれています。
私たち人類は、宇宙科学の研究や現地調査において人類が受ける被害だけではなく、惑星や天体の自然破壊と環境の保護・保全について考慮しなければなりません。
ウイルスは必然的なもの
しかし、惑星や天体にウイルスが持ち込まれることは必然的なものであり、自然の摂理であるとされる考え方もうまれています。
つまりウイルスが運ばれることは、人類が有人探査機を潜入させなくとも、いつかは起こることだったというのです。
フィムズ「FEMS Microbiology Ecology」で紹介された論文によると、火星に運ばれた地球のウイルスによって、生命が居住できるような環境に変化するといわれています。
アメリカ・フロリダ州のノバ・サウスイースタン大学とブラジルのリオデジャネイロ連邦大学の専門家たちは、火星に悪影響を及ぼすであろうウイルスと、そうでないウイルスをふるい分けるためのものを考え出す必要があると表明しました。
火星への居住と惑星の探査
火星の環境は地球の環境と似ている点があります。
そのため、火星に居住することができるような環境をつくりだせるのではないかといわれ、多くの専門家たちが研究を重ねてきました。
環境づくりには無人探査機による調査だけではなく、有人探査機による調査が必要です。NASAは近い将来、火星への有人探査機の潜入を成し遂げようとしています。
しかしその際、ここで紹介したようなことが起こってしまうかもしれません。
スタンフォード大学の専門家は、火星の岩石に生命体が潜んでいる確率は低いが、その際にも精密な検査を行い、慎重に保管しなければならないとの見解を示しています。
惑星探査のこれまでとこれから
過去の火星探査では膨大な費用の投資によってロケットがつくられ、打ち上げられました。
多額の費用がかかっているため、ロケットが生み出す熱でウイルスを除去することも可能だといわれてきました。
近年では企業や大学などの教育機関もロケットを作り出すようになり、宇宙開発はより身近なものになりました。
しかし身近になったのは良いことですが、同時にロケットをつくる費用を安く抑えるようにもなり、探査の危険性が高まるようにもなりました。
火星の岩石にこびりつくウイルスと、それがもたらす危険性についてご紹介しました。惑星の調査や宇宙開発には様々なリスクが伴います。そのリスクをどう乗り越えていくかが今後の課題となるでしょう。そして、私たち人類がいつか火星に住むことができるようになると良いですね。
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