世紀の大ヒット製品には、偶然開発されたものもあれば、当初 価値が見込めなかったのに発想の転換でヒットしたものがあるのです。
たまたま発見されたものが、我々の生活の質を上げています。今回は、そんな偶然による産物をご紹介します。
ペニシリン
細菌学に長けた医師フレミングは、研究室で培養中のブドウ球菌が青カビによって 生育を妨げられていた事に気付きました。
彼はこの現象をヒントに、青カビからペニシリンという抗生物質を発見し、医学界を大きく変えたのです。
放射線
物理学者兼化学者のベクレルは1896年、ウラン塩の蛍光を研究していました。彼の研究は「太陽光の下でウラン塩が写真乾板を感光させる」という前提で行われていました。
しかし彼がウラン塩を写真乾板と一緒に引き出しにしまうと、翌日、引き出しの中でウラン塩が写真乾板を感光させていた事がわかったのです。
その後、太陽光がなくてもウラン塩は写真乾板に影響を与える事が判明しました。彼はウラン塩から放出されるエネルギーを、放射線と呼んだのです。
ペースメーカー
電気技師グレートバッチは、動物の心拍数を測る発振回路の研究をしていました。その際、トランジスタの配線を誤っていた事に気付かずスイッチを入れると、心音のリズムで機械が動き出しました。
この出来事が元で、ペースメーカーが生まれたのです。
全身麻酔
昔は、アルコールを麻酔として使っていました。しかし1800年代、多くの医者がエーテルと笑気ガスを混ぜて患者に投与したところ、痛みを和らげる作用がある事がわかりました。これが全身麻酔の原型となったのです。
X線
1895年、物理学者レントゲンは、クルックス管を用いた陰極線の研究をしていました。その際離れた所にある蛍光紙に、暗い色の線が現れていた事に気付きました。
しかしその時、クルックス管は光を出さないよう遮断されていたのです。彼は「目視できない光が固体を貫通し、数m離れた蛍光紙に映し出されている」という事実にたどり着き、それがX線の誕生に繋がりました。
スマート・ダスト
ある研究者が、シリコンチップを落とし割ってしまいました。しかし、チップは砕けた状態でもシグナルを発していたのです。この発見が超小型センサーの「賢い埃」ことスマート・ダストの始まりです。
花火
2000年前に中国で誕生したとされる花火には、料理人の起こした爆発事故が起源という説があります。事故の際料理人の手元にあった硫黄、硝酸カリウム、炭を竹の筒に詰め、火を点けると花火が生まれたとされています。
ダイナマイト
化学者兼技術者のノーベルは、爆発物ニトログリセリンを安全に保管する方法を探していました。
ある日、彼はニトログリセリンの材料の入った缶を運ぶ際、液漏れに気付きましたが、漏れた中身は缶の保護材に吸収され、惨事を逃れたのです。
そこで彼は「液体のニトログリセリンは、何かに吸収させれば安全に管理できる」と考えました。この発想により、ニトログリセリンを珪藻土にしみ込ませたダイナマイトが生まれたのです。
瞬間接着剤
1942年クーヴァー博士は、傷の縫合に使う接着剤の研究をしていました。
開発された接着剤は粘り気が強過ぎて、傷の縫合には適しませんでしたが、ものを強く接着できるという長所から世界初の瞬間接着剤となったのです。
ポスト・イット(付箋)
ポスト・イットの誕生は1974年の事です。化学メーカーの研究員フライが、自社の開発した弱い接着剤を「栞にしたい」と考えました。その考えから、付箋のポスト・イットが生まれました。
テフロン
化学メーカーで働く化学者プランケットは、家庭用冷蔵庫の開発過程で、ガスボンベ内でツルツルとした物質が作られている事に気付きました。この、耐熱性のある丈夫な物質テフロンは、後にフライパンの素材として使われる事となります。
電子レンジ
軍事企業の技術者スペンサーがある時マグネトロンの近くに行くと、そこから出たマイクロ波でポケットの中のチョコバーが溶けました。
この出来事がきっかけで、彼は食べ物をマイクロ波で加熱する電子レンジを開発したのです。
面ファスナー「ベルクロ」
技術者メストラルは1941年、登山中、衣服にトゲに覆われたゴボウの実が付着している事に気付きました。この出来事からヒントを得た彼は、面ファスナー「ベルクロ」を発明しました。
プラスチック
1907年化学者ベークランドは、ペンキの原料 セラックの代用品を探していました。そんな中、石炭酸(せきたんさん)とホルムアルデヒドを混ぜ合わせ、色々な形に成型でき、耐久性の高い物質を作り出しました。
これが現在のプラスチックの原型です。
ステンレス鋼
1912年、ブレアリーという人物が砲身のサビを防ぐ合金鋼(ごうきんこう)を作ろうと鋼にクロムを12%混ぜたところ、失敗作ができました。
しかし数か月経っても、砲身が腐食していなかったのです。これがサビに強いステンレス鋼の誕生です。
加硫法で製造したゴム
かつてのゴムは非常にもろく、温度にも敏感でした。1830年代のある日、ゴムの改良をしていた発明家グッドイヤーは、硫黄を含むゴムを誤ってストーブに接触させてしまいます。
これが加硫法と呼ばれるゴムの製造法の元となり、この手法で作られたゴムは耐熱性が大幅にアップしたのです。
シリー・プッティー
研究者ライトは、合成ゴムの研究中ホウ酸をうっかりシリコン油の中に落としてしまいます。でき上がったのは単なるゴム状の物体でした。
その後1950年、マーケティングの達人が、このゴムのような物体をシリー・プッティーという玩具として発売したのです。この玩具は、多くの子どもを魅了しました。
コカ・コーラ
薬剤師ペンバートンはコカの葉とコーラの実を使い、頭痛薬を作ろうとしていました。しかし、助手がこれらをうっかり炭酸水と混ぜてしまいます。これがきっかけで、コカ・コーラが誕生したのです。
コーンフレーク
サナトリウムで働いていたケロッグ兄弟は、ある日病人食の薄いパン生地をうっかり乾燥させてしまいます。
そこで弟がそれを捨てず、パリパリの状態に焼き砕いて患者に与えると意外にも大好評でした。これがコーンフレークの起源です。
ポテトチップス
1853年、あるクレーム客に悩まされるジョージというシェフがいました。その客は、フライドポテトを堅く揚げても「堅さが足りない」と言うのです。
ジョージは嫌がらせとして、ポテトを薄くスライスし、高温でパリパリに揚げて提供しました。ところが客は大喜びです。これがポテトチップスの誕生秘話です。
チョコチップクッキー
一説では、チョコチップクッキー発明者は宿屋の女主人、ウェークフィールドとされています。ある日彼女はチョコクッキーを作ろうとしましたが、粉末チョコを切らしていた為 チョコチップを使いました。
チョコチップがバターと混ざって溶けると考えたのです。しかしチョコチップは溶けず、焼き上がったのは、当時はなかったチョコチップクッキーでした。
私達の身近にあるものは、偶然のミスによって生まれたものが多い事がわかります。たとえ失敗しても、そこに意外な発見があるかもしれません。ミスを何かの糧にしようという貪欲さを持つ人が、ヒット製品を生み出すのでしょう。
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