広大な宇宙。私たちの地球が存在する「天の川銀河」。まだまだ謎多きこの空間についての研究が、大きく一歩進むかもしれません。
太陽系外惑星(系外惑星)は、後述する、天の川銀河を構成する「薄い」ディスク部分と「厚い」ディスク部分のうち、前者においてのみ観測されていて、後者においては系外惑星は発見されたことはありませんでした。
しかし、今回 史上初めて「厚い」ディスク内部に系外惑星が観測されたのです。この発見は一体どういう意味を持つものなのか、解説していきましょう。
「天の川銀河」とは
私たちが「天の川銀河」と呼ぶ銀河系は、宇宙の中の一つの銀河でアンドロメダ銀河などと同じ渦巻(渦状)銀河という種類のものです。
「天の川銀河」の構造を大まかに説明すると「バルジ」と呼ばれる膨らんだ中心部分、その周りを渦を巻くように星々が存在する直径約10万光年の「ディスク」これら全てを包み込むように球状に広がっている「ハロー」の3つの要素によって形成されています。
しかし、その内容については不明な点が多く、確実な情報はまだまだ少ないため、形が確定しないのが現状です。そして、今回 問題になる「銀河面」を含むのは、3つのうちの「ディスク」の部分です。
「銀河面」ってどこ?
私たちの住む地球が存在している太陽系は、銀河系の中心から遥か遠い端にあると考えられています。そのため、夜空を見上げた時に見える、細長く続く天の川とは、銀河系をディスクに沿って横から見たものなのです。
この円盤に沿った面を「銀河面」と呼びます。
「ディスク」の構造
先述したディスクは「薄い」ディスクと「厚い」ディスクの2つのディスクによって形成されます。構造としては「薄い」ディスクがあって、その周りに「厚い」ディスクがあるというようになっています。
ほとんどの星とガスは「薄い」ディスク内に存在していて、今までに発見された系外惑星は、全てこの領域内のものでした。一方で「厚い」ディスクの領域内は、恒星が少なく散在しています。
また、大きな特徴として「厚い」ディスクは、金属の含有量が少ないことが挙げられます。これは後述する恒星の惑星形成にも関わってくる重要な要素です。
「ディスク」における惑星形成
惑星とは、金属性の高い恒星にしたがって存在する星のことです。これはつまり、惑星というものは、その親たる恒星がなければ存在し得ないことを表しています。
太陽系を例に挙げると、高い金属性を持つ太陽が、親となる恒星としてまず存在し、その周囲に、太陽の存在によって、地球を含む惑星が存在しているという状態です。
つまり、惑星の存在は金属性の高い恒星の存在と表裏一体と言えます。これを踏まえて、2種類のディスクを考えてみます。「薄い」ディスクには、多くの金属が存在するが故に、金属性の高い恒星が多く存在する。
金属性の高い恒星が存在するから伴って惑星が存在する。反対に「厚い」ディスクには、金属が少ないが故に、金属性の高い恒星が少ない。したがって惑星の数も少なくなる。これが銀河系における惑星形成の論理です。
結局、今回の発見の何がすごいの?
今回の発見は、従来の惑星形成のメカニズムを覆す、または進歩させる大きな一歩になる可能性を秘めています。今まで、系外惑星は金属の多い「薄い」ディスクでしか発見されませんでした。
なぜなら惑星を形成する恒星は金属性が高くなければならないからです。なので、金属含有量の少ない「厚い」ディスクにおいては、惑星が存在するのは困難であると考えられます。
しかし、今回 観測史上初めて「厚い」ディスクで惑星が発見されたのです。今までの惑星形成のメカニズムからすると、この存在は完全にイレギュラーケースと言えるでしょう。
従来の認識が間違っていた可能性も考えられるようになります。今回観測されたのは、たった一つの惑星に過ぎませんが、この発見が新たな惑星形成のメカニズムを生み出すきっかけになり得るのです。
銀河は広大で未知なることばかりの未開の地。しかし、少しずつ確実に、宇宙に興味を持った先人たちによって解明されてきたこともあります。今回の発見は「系外惑星形成のメカニズム」という要素の重要な手がかりとなるはずです。これを機に、あなたも銀河や宇宙について調べてみたら、ノーベル賞級の大発見があるかもしれません。
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