皆さん、この世に月は一つだけだと思っていませんか?そう思っている方は多いでしょう。
しかし、今回 衛星のような天体が地球の周囲を回っていると新たに発見されたことによって、地球には約3年前から、月が2つ存在していたと明らかになりました。
期間限定で現れる第2の月、ミニムーンとは一体どんなものなのか、一緒に見ていきましょう。
そもそも月の定義とは
月と聞くと夜空に浮かび、輝いているものというイメージが強いことでしょう。第2の月やミニムーンと言われていますが、そもそも月の定義とはなんなのか?
まず、私たちのよく知る月についても交えてご紹介致します。太陽系の中で最も地球と近い天体であり、かつ人類が到達したことのある唯一の天体、月。
地球と比べると大きさは約4分の1、質量が約81分の1と太陽系の中では5番目に大きい衛星で、地球から月までの距離は384,400 km程あります。
私達が地上から月を観察したとき見えているのは、月面の59%です。太陽の光を反射することで白く発光しているように見え、その明るさは天体の中では太陽の次に位置づけられます。
月といえば反射により光り夜になると見える、それがあたりまえのように感じますが、実は月の定義というのは広い意味で「惑星の周りを回る衛星」とされています。
そのため、例として地球から離れてみると火星の第1衛星であるフォボスは火星の月であると言えます。そして、この月の定義にミニムーンも当てはまっている為「地球の第2の月」と称されているのです。
第2の月、ミニムーンとは?
ミニムーンは別名「一時的捕獲天体」と言われるもので、今回発見された衛星は「第2の月」の他「2020 CD3」「C26FED2」とも呼ばれています。
現在話題となっているミニムーンを発見したのはNASAが出資するカタリナ・スカイサーベイの天文学者ら、カッパー・ビエルチョス氏とテディ・プライン氏。ハワイにある天体望遠鏡によってその姿が捉えられました。
ミニムーンは地球の重力によって周囲を回るように運動する直径およそ1.9~3.5mの自動車ほどの大きさの小惑星です。
C型小惑星という一般的な小惑星に分類され、有機物や水、炭素を大量に含んでいると考えられています。では、ミニムーンはどこから来たのでしょうか?
ミニムーンは元々地球の付近で生まれたものではなく、火星と木星の軌道の間にある小惑星帯で発生し、その後太陽の軌道上を周回するようになったと考えられています。
地球の引力に捕まり周囲を回り始めたのはたまたま地球の近くを通った時に起こった偶然のことなのだそう。何故「期間限定」と言われているのか?原因はその軌道にあります。
ミニムーンは何故期間限定なのか
ミニムーンは小惑星ですが「小惑星」と聞くと、よくありふれた珍しくもないものに感じる方は多いでしょう。
実は、地球の周囲を回っている小惑星が確認されたのはなんとまだ2個目であり、今回のミニムーンの発見は重大な出来事だと言われています。
ジェミニ天文台が発見した過去唯一の例である「2006 RH120」は、発見された2006年9月か2007年6月まで地球の周りを回っていました。
今回のミニムーンは、その軌道から地球の周囲を回り始めたのは約3年前からと割と最近であると考えられていますが、最新の観測結果を用いてアマチュア天文家のトニー・ダン氏が再度計算を行ったところ、それ以前からミニムーンが地球の周囲を回っていた可能性も浮上しています。
小惑星に関するデータを収集しているスミソニアン天体物理観測小惑星センターが「これまでの人工天体との関連性が見つかっていない」と述べた事からミニムーンは期間限定で地球の重力に捕らわれている可能性が高いとされているのです。
ミニムーンが地球を1周するのにかかる時間は約47日。描く軌道は従来の月のような規則的な円ではなく不規則な楕円と不安定です。
軌道が極めて不安定である点からも4月頃には再び軌道から外れていってしまうだろうと考えられています。しかし、外れても地球から遠く離れていく訳ではなく近くには存在し続け、およそ25年後にまた接近してくるそうです。
自動車サイズのミニムーンが知らないうちに地球に寄り添い周回していたことが判明したのは2020年2月15日とつい最近の出来事。
判明して間もなく離れられてしまうのは少し寂しくも感じますが、今回数年間発見されなかった事実を鑑みると未だ発見されていない別のミニムーンが存在している可能性も、0とは言い切れないようにも感じます。
宇宙の謎というのはまだまだ解明しきれておらず、神秘のベールに包まれています。今回のミニムーンはもう去ってしまうそう。約25年後に再びこのミニムーンが訪れてくる日を、ともに待ち望みましょう。
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