皆さんは、毎朝天気予報を見ますか?一日や一週間の天気をあらかじめ知っておくことで、遊びに行く予定や傘を持っていくべきかを決める参考になるので、多くの方は見ているのではないでしょうか?
「今日は太陽の光が降り注ぐ1日なのか、それとも太陽の光が届かない曇りなのか…」私たちにとって身近な天気予報ですが、実はある研究結果がもとで、太陽そのものの天気予報ができるようになったのです。
まずは、どのような研究結果が得られたのかをご紹介します。
太陽表面の撮影に成功
今回ご紹介する研究結果は、アメリカ国立科学財団の「イノウエ太陽望遠鏡」によるものです。この望遠鏡を用いて、今までにないほどの高解像での太陽表面撮影に成功しました。
太陽の表面には、まるで細胞のように、たくさんの粒が集合している状態で写っています。細胞にもたくさんの種類がありますが、写真として瞬間を切り取った時には、人間の肌のような状態です。
それが小さく動いているので、集合体恐怖症の人には少し苦手に感じられる動画かもしれません。太陽表面が「細胞」に見えるといっても、実際のサイズは細胞とでは比べ物にもなりません。
細胞1つだけで、なんと日本の総面積の1.8倍もの大きさがあるのです。それらがたくさん集まっているのですから、やはり太陽の大きさはケタ違いです。
壮大な冷却装置が必要
実は、この天文台を運用するためには、巨大な冷却装置が必要になります。太陽の観測の際に、多大な熱エネルギーが伴います。そのため、巨大な冷却装置を用いて、熱を取り除く必要があるのです。
夜中に氷が作られて、それを観測時に利用するので、最終的に熱が取り除かれて、望遠鏡には光のみが入り込むシステムです。
望遠鏡以外にも、このような巨大システムが一緒に働くことで、太陽の天気予報ができるようになります。
太陽の天気予報ができる
「太陽の天気予報ができるようになったからって何になるの?」確かに、人類が太陽に住むことができるようになる日が来るのかはわかりませんし、太陽の天気予報の必要性があるのかを疑問に思う方も少なくないと思います。
しかし、実際は太陽の天気予報はとても重要なのです。その第一の理由が「太陽の天気が地球の電気網に大きな影響を与えかねない」というものです。
太陽では、対流するプラズマによる運動エネルギーが、磁気エネルギーを生み出します。その磁気エネルギーは、やがて太陽の磁場にねじりを生じさせ、もつれが出てくるようになります。
そうなると「太陽風」というものが発生するのです。強い太陽風は太陽嵐と呼ばれ、地球にも大きな影響を与える可能性があります。
主に地球の電気網が大打撃を受けかねない、地球で暮らす私たちにとっては深い関係があるのです。歴史的にも太陽が地球の電気網に影響を与えたケースがあります。
1859年と、かなり昔のことですが、電気網の普及活動にいそしんでいた頃、太陽風によって各地でショートが起こってしまい、火災までも引き起こしたそうです。
その時代でも大きなダメージを受けたことは事実ですが、現代という電気に頼り切った社会が世界中に点在する時代には、より一層大きなダメージが感じられるでしょう。
ちなみに、今太陽風の影響を受けて地球の電気網が影響を受けたことを想定すると、その復旧には数年から10年かかると考えられており、その間は電気網が19世紀初頭のレベルまで下がってしまうようです。
対策を早めにうつためにも、太陽の天気予報ができるようになったことは、大きな意味を持つと言えます。
太陽天文学への影響
太陽の表面の観測が可能になったことによって、太陽の天気予報ができるようになりました。そして、これが今後の太陽天文学に大きな影響を与えると予想されています。
今回ご紹介した研究結果と、もう間もなく完成するソーラーオービターというシステムの実現によって、今後5年でめざましい発展をとげるといわれており、そのすごさは「過去400年分のデータを、今後の5年で超えてみせる」というほどのものです。
新しい技術の発明が、天文学に多大な影響を与えているのです。
太陽の天気予報ができるようになるのは、人類にとって大きな意味を持ちます。今回の偉大なる研究結果をきっかけに、今後の太陽天文学の発展と、地球の電気網に関する安全対策の充実などへの応用が大変楽しみです。
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