地球が丸いことは当然のことと認識されていますが、それを自分の目で確かめた人はごく少数でしょう。遠い昔から人類は、地球がどのような形の惑星なのかを追求していました。
世界には地球平面説を信じている団体があり、この説を信じる人が日に日に増えているのです。一方で、アメリカの月刊誌「ポピュラー・サイエンス」では、地球が球形であることを確かめる方法がまとめられています。
今回はそのチェック方法をご紹介します。
港で走る船を見る
船が水平線に向かって進むと、船体が水平線の下にもぐり込み、次に船の帆が海にもぐっていくように見えます。徐々に船が小さくなって見えなくなるということはありません。
一方船が港に向かってくる時は、最初に帆が徐々に海の下から出てきて、次に船体が上がってくるように見えるのです。
こうした見え方については、1881年に出版された地球平面論の書籍「調査の天文学」にも記載されています。この本によれば、先程の順序で船が消えたり現れたりするのは、遠近感による錯覚だというのです。
しかし、遠近感とは「遠くにあるもの程小さく見える」という見え方が関わっているものであり、ものが下の部分から消えていく現象の説明にはなりません。
もしこの現象が遠近感による錯覚ではないことを確認するなら、双眼鏡などを使い港の船を見てみましょう。遠くのものがはっきり見えるようになっても、やはり船は下の方から消えていくはずです。
そして、これは地球が丸い形だということの証拠になります。
高い所から周りを見渡す
どのような所でも良いので、高い所に行ってみましょう。地球が平面なら、たとえビルの高層階に行こうと、見渡せる範囲は地上にいた時と変わらず、子どもたちの間で東京から大阪を見るという遊びが流行るかもしれません。
しかし実際の地球は湾曲しているので、思いっきり高い場所にでも行かない限り、目で見える範囲は半径およそ5kmのエリアに限られているからです。
飛行機で世界を1周する
かなりお金のかかる手段ではありますが、1億円かけて人工衛星を打ち上げるよりは遥かにお手軽でしょう。今は誰でも世界1周旅行をすることが可能で、そういったことを専門に取り扱う旅行代理店もあるのです。
もしあなたが十分な高度に達し、地平線を自分でしっかり見られたならば、裸眼でも地球が湾曲していることを確認できます。
2008年に発表されたある論文によると、地球の湾曲は高度約1万mまで行った時、ようやくほんのり見えてくるとのことです。ただしそのカーブを肉眼で確認するには、60度の範囲を見渡せることが条件となります。
よって、旅客機の小さな窓から地球の丸みを確かめるのは困難です。ちなみに、高度1.5万mまで上昇すれば地球のカーブはかなりはっきり見えます。
現在就航していない音速旅客機コンコルドは、高度1.8万mの空を飛び、乗客に弧を描く地平線を披露したといいます。
気象観測気球を使う
気象観測気球とは、高い場所の気温や気圧などを測定する気象観測機器を飛ばすために用いる気球です。2017年1月、その気象観測気球に、イギリスのレスター大学の学生がカメラを取り付け、空へと放ちました。
気球は23.6kmの高さまで上昇し、地球のカーブをカメラに収めることに成功しています。
星座を観察する
紀元前350年のことです。ギリシャの哲学者アリストテレスは、緯度が変わると見える星座も変わってくることに気付きました。以来、その事実に変化はありません。
例えば、北斗七星が観測可能なのは北緯約40度よりも北であり、南緯25度以上南に行ってしまうと全く確認できないのです。
そのため、南緯約25度の位置にあるオーストラリア北部では、北斗七星は地平線のわずか上にかろうじて見える程度なのです。しかし、南半球では南十字星を見ることができます。
この南十字星を北半球から見るならば、フロリダ州のフロリダキーズまで行かなくてはなりません。これらの星座の見え方が違うのは、地球が球体であり、南半球と北半球で異なる夜空が見えるからです。
月食時月面の影を見る
月食を見ることで地球の湾曲を証明できることを発見したのも、アリストテレスでした。月食が起きている間、月面に地球の影ができますが、それが弧を描いているのです。
地球は回っているにもかかわらず、月食の時には必ずそのカーブが確認できるのです。地球の全方位が弧を描いている点から、彼は「地球は丸い」と考えました。
月食でなく日食も「地球や月、周りの星が球状であり、互いの周りを回っている」という説を裏付けます。もし地球が平面なのであれば、北アメリカの広い範囲で観測された、2017年8月の皆既日食を説明することが極めて困難になります。
白夜の仕組みを知る
日本で白夜という現象は起こりませんが、北極圏や南極圏を中心に、夜でも太陽が沈まない場所があります。これは地球が自転する際の軸が傾いていることから、常にその場所に日光が当たり続けているためです。
もし地球が平らであるならば、どの場所でも同じ長さの時間、太陽の光が当たるはずです。白夜の存在こそが、まさに地球が丸いことの証明でもあります。ちなみに春、夏、秋、冬があるのも、地球が丸いからです。
地球がプレート状の惑星なら、1年中どの国も同じ気温になるはずです。
2ヶ所以上の場所の影を比べる
地球の外周を初めて計算した人物は、ギリシャの数学者、エラトステネスです。彼が用いた方法は、夏至の日に現在のエジプト南部のアスワンと、北部のアレクサンドリアでできる影の長さ比べです。
正午、太陽がアスワンの真上に来ると、地面にあった影が消えますが、アレクサンドリアの地面には影があるのです。エラトステネスは、影の角度とこれらの都市間の距離が分かれば、地球の大きさが計算できると考えました。
もし地球が平らならば、どの土地に行こうと太陽からの位置関係は変わらないため、影の長さに違いは出ないはずです。しかし地球が球状であれば、距離の離れた2つの都市で影の長さが異なる現象について説明することができます。
コリオリの力について知る
コリオリの力、別名コリオリ力、転向力についてはご存知でしょうか?簡単に伝えると、地球の自転の速さが緯度によって異なるために、見かけ上は北半球では右向き、南半球では左向きに働く力です。
例えばトイレの水を流した時、北半球では右回りの渦が、南半球では左回りの渦ができます。このコリオリの力は1835年にフランスの科学者、ガスパール=ギュスターヴ・コリオリが導きました。
トイレ以外にもあらゆる場所でこの力は働いており、こうした現象が起こる理由も、地球が球体であるためです。
地球が丸いことを実際確かめる方法は、なかなか思いつかない人が多いのではないでしょうか。宇宙から地球を見ることまでしなくても、今回ご紹介した方法を試せば、地球が丸いことを確認できるのです。勿論、あなたにとってやりやすい方法で地球のカーブを確かめてください。
コメント