私たちの住む地球は、太陽の周囲を回る惑星の1つです。
惑星はある定義をもとに、分類されています。長年宇宙を観測し、定義なども作れるほどに観測データは集まっています。
しかし、2019年11月、今までにない「惑星」と呼ばれる天体の存在の可能性が発表されたのです。今までの「惑星」とどう違うのか? そして、この天体は、本当に「惑星」なのか?
今、多くの人がその真相に注目しています。今回は、新しく唱えられた「惑星」についてご紹介します。
「惑星」が誕生する場所
今回発表されたのは「惑星」であり、通常の惑星とは「」(カッコ)をつけて区別されています。
どのような点で区別する必要があるのかを紹介するためにも、まずは、通常の惑星がどのように誕生するのかをご説明します。
そもそも惑星とは、太陽のように光を発する、いわゆる恒星の周囲で誕生するものです。恒星が誕生することで、その周囲にはガスとちりが存在します。
そのガスとちりから、原始惑星系円盤というものが形成され、それを材料にして惑星が生まれるのです。つまり、恒星が存在しない場所には、惑星も存在しないということになります。
しかし、今回唱えられた「惑星」は、想像もしない場所を誕生地として選ぶのです。
従来の「惑星」と異なる点
今回発表された「惑星」は、なんとブラックホール周囲で誕生するのではないかと言われています。
「それでは惑星じゃないのでは?」という声も聞こえてきそうですが、この天体を呼ぶふさわしい名前が見つかっていないため、現時点では「惑星」という言葉を用いているようです。
巨大ブラックホールの周りには、多くのちりが存在しています。
今回発表された研究では、これまで恒星周辺で使われてきた標準シナリオに当てはめた理論計算を、ブラックホールの周辺に応用させた結果が示されています。
計算すると、ブラックホール周囲には岩石と氷が成分の「惑星」が形成されると、予想されるのです。
今までは恒星の周りにしか存在できなかったと考えられていた惑星が、他の場所でも存在できるとなると、今までの常識が大きく変わります。
理論上は存在できる「惑星」は、どのような姿をしているのでしょうか?
今後の課題
実は、「惑星」の姿は実際には確認できていません。その理由は、主に2つあります。
1つは、巨大ブラックホールが遠くにあることです。もう1つは、「惑星」自体の大きさが、遠くから観察するのに十分な大きさではないことです。
現時点で存在している技術では、「惑星」の姿を見ることはできません。
しかし、今後技術が向上することによって、観察することもできるようになるでしょう。
生命存在の可能性
もう1つ気になるのが、「惑星」に生命体は存在できるのかということです。
しかし、これも先ほどお伝えしたように、まだ「惑星」のことが確認できる技術がないので、生命体の存在を確かめることはできません。
ただ、通常の惑星とは誕生の仕方も、周囲の環境も異なるため、仮に生命体が存在したとしても、地球とは全く異なる進化を遂げていることでしょう。
ブラックホールからは強い電磁波が出ているため、生命体にはその電磁波の影響も出てくることが予想されます。
実際の状況をすぐさま確認することはできませんが、技術の発展だけではなく、長い目で予測・修正を繰り返すことで、より真相に早くたどり着けるのではないでしょうか。
また、最近では合体銀河の中心に、3個目の超巨大なブラックホールが発見されているなど、ブラックホールに関する調査も進んでいるので、相乗効果で「惑星」のことが明らかになることも期待できます。
今までとは違う「惑星」の可能性が示唆されていますが、今の技術ではまだまだ真相の解明は難しいようです。真相を明らかにするためにも、今後の技術の発展に期待していきたいですね。
参考 : sciencemag, など
コメント