皆さんは、「タビーの星」についてご存知ですか? タビーの星とは正式名称「KIC 8462852」白鳥座の方角にある連星、連なった複数の星のことを指します。
このタビーの星は、不規則に減光していたことで知られていますが、その不規則な光の変化の原因ではないかと言われる天体について新たな事実が明らかになりました。
今回は、タビーの星、および未発見の天体「プルーネット」についてお話ししたいと思います。
不規則に減光する恒星「タビーの星」
タビーの星が減光していることが知られたのは2015年9月のことです。タビーの星は19世紀末にその存在が明らかになって以来、なんの変哲も無い星として知られてきました。
しかし、2015年にイェール大学の天文学者であるTabetha Boyajian(タベサ・ボヤジアン)が書いた論説がタビーの星の認識を、2011年から2013年の間不規則に減光していた「極めて異例の星」というものに変えました。
この論文の発表後、ハーバード大学に保管されていたタビーの星に関する資料が見直され、過去最大で22%もの減光があったことがわかりました。この、非常に大きな減光の量、そして減光が起きるタイミングこそが、タビーの星の特に目立つ特徴です。
減光自体は珍しくない!?
実は、減光する星自体は宇宙にたくさん存在していて、あまり珍しくありません。それが、規則的に明るさを変化させる星「変光星」です。
タビー星との違いは、規則的に明るさが変わり減光の程度も大体一定だという点です。つまり、タビーの星の活動が珍しいと考えられ、研究されているのは減光量が大きいこと、不規則にかつ長期的に減光することが原因です。
変光星の減光は内圧の変化などが原因だとされていますが、ではタビーの星が不規則に、しかも大幅に光の量が変わる原因は何なのでしょうか。
星を取り巻く彗星
本来天文学において、星に不規則な減光が観測された場合は彗星や小惑星の影響だとされます。星を取り巻く彗星や小惑星が星の光を吸収してしまうからです。
しかしタビーの星の場合、彗星程度のサイズの星が通りタビーの星のひかりを吸収したとしても、説明がつかないほど光量が変化しているのです。仮に木星サイズの星がタビーの星の近くを通り、光を吸収したとしても1%程度の減光にしかなりません。
また、先ほど「不規則」と述べた減光の周期ですがかなりの高頻度で発生しており、期間も長期間であるため、光量の変化を彗星の周回が原因と考えるのは現実的ではありません。
例外として、若い恒星の場合は惑星になる前の塵が星の周囲を取り巻いているという可能性がありますが、タビー星はこの説を当てはめるには歳をとりすぎています。
プルーネット
全くもって理由が説明できそうにない、タビー星の不思議な減光ですが、説明が可能だと主張する人が現れました。コロンビア大学の天体物理学者Brian Metzger(ブライアン・メッツガー)氏です。彼は、タビー星の不規則な減光の原因を「プルーネット」ではないかと主張しています。
プルーネットとは何か、皆さんご存知ですか?プルーネットとは仮想状の太陽系外惑星で、元々ある惑星の恒星だったものが軌道を外れ、別の惑星となったものとされています。「仮想状の」と言ったのは、2019年時点でまだ発見されていないからですが、理論上は存在するとされています。
惑星であるからには、太陽系で言うところの太陽のように恒星の存在が必要となり、地球から観測できる大型の恒星が今のところ発見されていないのがプルーネットが観測されていない主な原因です。
もしプルーネットが恒星、タビーの星のように自ら光る星に近づき、強い放射にさらされた場合プルーネットの外層の氷が溶かされ、彗星のように大量の塵の雲が作られます。つまり、現存の彗星では説明が不可能だった、タビーの星を22%も減光させてしまうレベルの光の吸収が起こりうるということです。
これはプルーネットありきの理論で、つまりプルーネットが観測されていない今、何の証明にもなっていませんが、逆に言うとプルーネットの存在とタビー星減光の謎は同時に照明できる可能性があるということになります。
タビーの星や星の減光を取り巻く謎について、興味を持っていただけたでしょうか?宇宙には解明されていない謎が多く、その謎同士が大きく関与しているため、今回のようにどちらか片方が解明されれば二つの謎が同時に解明されるなんてケースがたくさんあるかもしれません。皆さんも宇宙の謎、それぞれの謎の関係について思いを馳せてみてはいかがでしょう。
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